■『全領域異常解決室』がここまで話を引っ張ったわけ
X上では《小夢が芸能の神様である天宇受売命だって事が判明したけど、音楽隊出身でダンスが得意ってのはこの伏線だったってことか》《相関図が更新されて、警視庁の北野と二宮の位置が左右逆になった。のちに二宮とヒルコの線結びやすくするため? というか北野は北野天満宮から?》など、伏線の指摘や考察の声が。
公式サイトで脚本の黒岩勉氏が「この物語は7話から始まります」とコメントしている通り、第6話の最後でほぼ別のドラマになってしまう大胆な展開。しかも「神VS神」という、冷静に考えると、かなりトンデモな設定を出してきた。
第7話から新展開とはずいぶん引っ張ったように思えるが、もしこれを最初から見せていたら、誰もついてこられなかっただろう。これまで「神の仕業」を匂わせたオチをあえて繰り返し、物語の世界観に視聴者を慣れさせてきたからこそ、トンデモが受け入れられたのではないか。実は、黒岩氏による巧妙な脚本、展開だったのだ。
この急展開は数字的にも功を奏した。事件に関わった人物や「全決」メンバーが、神だったと種明かしされたことで、第1話から仕掛けられていた様々な伏線が明らかに。TVerの数字が急に動いたが、今回の放送を受けて2度見する人が増えたからだと思われる。
また、警視庁の北野天馬(小宮瑠央/21)や二宮のの子(成海璃子/32)など、次は誰が神だと分かるのかと考察も盛り上がっていて、TVerのお気に入り登録数はこれからも増えていきそうだ。先の読めない展開はまさに配信向き。散りばめられた伏線と合わせ、今後の伸びが期待できるだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。