■若者にとっては「旬なアーティスト」でも……

 今回の『紅白』に出場する韓国グループ――まず、ILLITは今年3月にデビューしたばかりだが、上半期の『Z世代が選ぶトレンドランキング』(Z総研)で3位にランクインしたり、オリコン週間ストリーミングランキングにおいて女性グループ歴代最速で累積再生回数1億回を突破するなど、やはり若者の間では知名度のあるグループである。YUNAH(20)、MINJU(20)、MOKA(20)、WONHEE(17)、IROHA(16)の5人組で、MOKAとIROHAは日本人ということで応援する声は多い。

 次にME:Iも、結成は昨年12月というフレッシュなグループ。日本のグループだが、JO1INIを輩出したオーディション番組の初の女性版『PRODUCE101 JAPAN THE GIRLS』を経て韓国でレッスンを重ねたグループで、K-POPアーティストに近いポジションで活躍している。メンバーは11人だが、最年少メンバー・TSUZUMI(17)は今年7月から体調不良で活動休止中。初の『紅白』は、10人で臨むことになる。

 そして、男性グループのTOMORROW X TOGETHER(TXT)は2019年3月、韓国でのデビューアルバムが世界44の国・地域の『iTunes TOPチャート』で1位を獲得。いきなり世界を席巻し、大きな話題となった。日本でも多くの歌番組に出演したり、7月10日から10月6日にかけて日本4大ドームツアー『ACT:PROMISE』を駆け抜けたりと、やはり人気グループである。

「彼らはいずれも若者に大人気のアーティスト。NHKには、『紅白』を通して新たな視聴者を獲得したいという狙いもあると言われ、彼らを出すことで若い層に見てもらいたいのでしょうね。

 ただ、そうした若年層の視聴者を狙ったキャストがメインになってくると、従来の視聴者層、そして年配層にとっては“つまらない”『紅白』になってしまう。さらには、面白くない以前に“よくわからない”アーティストばかりになってしまった印象になると、年配層を“置き去り”にしていってしまう恐れもあると……。

 一般知名度も高いSTARTO社のグループが昨年に続いて出ないことも影響していそうですが、今回は“特別枠”で出場する氷川きよしさん(47)のような老若男女が知る国民的歌手を揃えるというのは、なかなか難しいことですよね。ただ、『紅白』は昨年、過去最低視聴率を記録してしまいました。今年も相当厳しいことになりそうですね……」(前出の夕刊紙デスク)

 良く言えば若者向け、悪く言えば既存の視聴者を置き去りにしている感もある今回の『紅白』。この采配は、吉と出るか凶と出るか――。