■田辺桃子のムダ遣い
「広瀬と永瀬は確かに良いのですが、脇役の描写が浅いところがあって、それがドラマ全体の面白さを半減させています。今回はセイラの過去の描写がないため、ただの心に傷を持った人で終わっていて、2人の間に入るノイズとしての役割を果たせていません。ドラマは主役だけでは成り立たないし、これでは、変幻自在の演技で評価が高い田辺がもったいないですよ」(ドラマライター/ヤマカワ)
ほかの脇役も、ユニットをデビューさせようと奔走する磯部がただの変わり者として描かれているため、音が成功していく過程のスリリングさが感じられない。また、空豆の才能をやたらに推している、「アンダーソニア」のパタンナー・葉月(黒羽麻璃央/29)も描き方が浅く、正体不明なままだ。
「一方の『星降る夜に』では、ムロツヨシが主人公の産婦人科医・鈴の過去に絡む重要人物として登場。また、産婦人科や北村匠海が働く遺品整理会社の人々にも、絶妙に光が当てられており、ドラマのテーマに深みを与えています。脇の人物たちをしっかり描けているか否かで、2つのドラマには決定的な差がありますね」(同上)
毎回、『夕暮れに~』の広瀬と永瀬の胸キュンシーンは、「繊細で美しい」などと評価が高い。しかし、その尺をもう少し減らして、脇役のキャラを丁寧に描くことに割り振っていれば、本作の評価は変わっていたかもしれない。メインから脇まで実力のある俳優陣を揃えていただけに残念だ。