■周囲がかすむ土屋太鳳と杉咲花の演技

 平均世帯視聴率はやや戻して7.5%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)。ドラマの王者、日曜劇場としては物足りないが、やはり序盤のつまずきが大きいのだろう。日曜の午後9時は家にいる人が多く、リアルタイムでの視聴習慣ができやすい。日曜劇場全般の視聴率が高いのは、それが大きいと思われる。しかし、本作は第2話の放送休止、第3話の時間繰り下げで視聴者がつかなかったため、数字を落としてしまったと考えられる。

 ただ、ここまでで各キャラの背景と端島の状況をじっくり描き、十分にタメを作ったところで、本格的に物語が動き出しそうだ。ずっと引っ張ってきた、現代編のいづみ(宮本信子/79)の正体も明らかになりそうで、先行する今期ドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)や『ライオンの隠れ家』(TBS系)を追いかけ、逆襲が始まるだろう。

 いづみの正体をめぐっては、朝子か百合子のどちらかのようで、視聴者の考察も2人に絞られてきている。今回は土屋が注目を集めたが、杉咲も前回でほかの出演者がかすむほどの名演を見せた。物語の核になるいづみに関係する2人がメインになって、物語を盛り上げていきそうで楽しみだ。

 今期の各ドラマは中盤に入りTVerのお気に入り登録数が伸び悩み始めているが、『海に眠るダイヤモンド』だけは変わらず伸び続けている。視聴率も上向きになっており、出遅れを取り戻した本作が、一気に今期ドラマの王者に躍り出る可能性は高い。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。