広瀬すず(24)主演の『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)は、田舎育ちで天真爛漫な女性が、音楽家になるのを夢見る青年と出会い、東京で夢や恋を紡ぐラブストーリーだ。
第6話は、音(永瀬廉)のユニット、ビート・パー・ミニットのデビュー曲『きっと泣く』がスマッシュヒットし、ミュージックビデオの衣装を制作した空豆(広瀬すず)も会社に認められる。それぞれが成功を収めることで、2人の別れが近づいてきた。
■音・永瀬廉が成功と引き換えに手放すもの
セイラ(田辺桃子/23)の美しくてクセのない歌声には、寂しさや優しさがある。空豆が感じた「晴れでも雨でもない。泣きたくなるような声」で歌った『きっと泣く』は、配信1週間で700万回再生とチャート5位を記録する。これはA&Rの磯部(松本若菜/38)のプロモーション戦略による成功だが、空豆がデザインした衣装が引き立つミュージックビデオの力もあった。
衣装は白を基調にしたドレスで、海と空をバックに撮影するのを想定して作られた。太陽の光に反応してキラキラと輝くおはじきをイメージしたドレスは、1回着たら消えてなくなるような服。それは、まるでシンデレラが美しいドレスを着て舞踏会に出かけたように、自信のないセイラに魔法をかけたのだ。
美しさと儚さを併せ持ったセイラの美貌と、魔法がかけられたドレスの相性は抜群で、まさに夢のようなミュージックビデオが完成した。これにより、本格的に売り出すため、音は下宿先である雪平邸を出てマンションへの引越しを検討するよう、磯部から伝えられる。これは将来を見込んでの提案であり、音はカフェのバイトも辞めて音楽に専念できることになる。
「この世界で生き残りたい、一生音楽で食べていきたい」と覚悟を決めてきた音にとって、断る理由がない。しかしそれは、今の暮らしで得られていた安らぎや温もりを失うことになる。夕暮れが美しい庭で響子の絶品パエリアを食べたり、縁側で空豆とシャボン玉を作ったりすることもない。夜遅くまでこたつで制作して、うたた寝していたところに空豆が来たりすることは、もうないのだ。