■『全領域異常解決室』の異例さとは
X上で、《1話から、微妙に話の軸がブレてて脱落した視聴者多かったはず。でもそれはあえての計算で、丁寧に積み重ねて7話で種明かし》と指摘されているように、見続けなければ面白さは伝わらず、タイパは悪い。早い段階で視聴者を引き付けるフックを用意しているドラマが多い中、7話まで盛り上がりを引っ張った本作はきわめて挑戦的だ。
また、TVerのお気に入り登録数は第8話の放送後、75.0万から75.9万(12月2日午後1時現在)に急増。終盤に来てここまで伸びるのは異例のことで、ドラマ部門で順位こそ7位だが、後半の勢いだけをとってみれば、出来とともに今期ナンバーワンといっていいだろう。
今回の興玉神(オキタマノカミ)とされてきた興玉(藤原)が、本当は黄泉戸を守る天石戸別神(アメノイワトノワケノカミ)だったなど、種明かしされたあとに見る前半の物語も新たな発見が多く、まさに配信向けの仕掛け。戦略的に大成功だ。
物語はいよいよ終盤に向かい、次回は、興玉が突然の襲撃に遭い、小夢(広瀬)が仕留められたときにも使われた、特別な神器・天之加久矢の矢尻で刺されてしまうという衝撃の展開に。どんな結末を迎えるのか注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。