■コスパで勝利の『嘘解きレトリック』
しかし、X上では評価が高く、《舞台を少し昔にすることでトリックのハードルが下がるので、難しいトリックを使う必要もなく話が分かりやすい。推理と人情のバランスが私は好き》《ラストはほっこりするハッピーエンドで終わる。これを見るとホッとする。優しい月9になっていると感じる》などと賞賛の声が多い。
これまでの月9ドラマに比べれば、正直言ってメイン、ゲストともにキャスティングは小粒だ。しかし、演技力は高く、スタッフもベテラン揃いで、安心して見られる良作となっている。小粒ながらも手堅い数字を残せたのは、そのおかげだろう。
これは、フジテレビ側のあえての狙いに見える。月9ドラマといえば豪華なキャストが売りだが、そうそう大作を連発するわけにはいかない。ネットに押され、テレビの広告収入が減り続けている現状では、本作のようなコスパのいい作品も必要になってくるため、これからの月9ドラマを見据えていたのではないだろうか。
本作に続く同枠の2025年1月期のドラマ『119エマージェンシーコール』も、メインが清野菜名(30)と瀬戸康史(36)という、これまでの月9ドラマに比べると、実力は十分ながら話題性としては小粒感のあるキャスティングだ。こちらも、本作と同じ高コスパな良作の予感がする。そんな、新しい“月9スタイル”に注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。