■『モンスター』の亮子に思い入れできないわけ

 その理由は亮子(趣里)のキャラ設定にありそうだ。本作の加藤春佳プロデューサーは『ENTAME next』(徳間書店)のインタビューで亮子について、「お金のために働いているわけでも、かといって確固たる正義があるわけでもない。得体の知れない弁護士」だと説明している。

 また、加藤プロデューサーは、脚本家・橋部敦子氏にオリジナルの脚本を依頼する際、橋本氏が「法を上から見る・俯瞰しているキャラクター」で新しいリーガルドラマが制作できるのではと話していたと明かし、その流れで神波亮子が生まれたと振り返っている。

 つまり、亮子は“ひとりの人物”というより、神的視点を持つ客観的な存在として描かれているということだ。これまで亮子の背景について、子ども時代に法律や裁判に興味を持っていたこと以外、描写がほとんどなかったが、人間らしくない存在にするため、あえて漂白したキャラにしているのだろう。

 ちなみに、SixTONESジェシー(28) が演じる若手弁護士・杉浦については、加藤プロデューサーは「“視聴者の補助”になってくれる存在」としている。物語を動かす登場人物ではなくて、ツッコミによる解説役だろう。杉浦も背景はほとんどわからないが、これも物語を見えやすくするため、あえて説明しなかったのかもしれない。