■希望を持たせて落とすエグい手法
しかし、視聴者の願いもむなしく、雨は毎回、確実に五感を失っていった。これでは悲鳴が上がるのものも無理はなく、希望を持って最新回に臨むも毎週、どん底につき落とされる。この繰り返しのおかげで、配信サービス・TVerの数字は伸びていった。ズルいといえばズルいが、うまいといえばうまい手法が、結果的に当たった。
しかし、最終回で太陽が、自身の命を差し出す代わりに、海に“心”を戻すことを決意。雨は五感を取り戻したが、目覚めたときには、すでに太陽は帰らぬ人となっていたというオチには、X上で《月9はハッピーエンドであれよハッピーエンドに見せかけた大鬱バッドエンドだろ泣き過ぎて頭痛い》など、さすがにブーイングが起きていた。
TVerのお気に入り登録数が110万人を突破するなど、数字的にはヒットとなった『君が心をくれたから』だが、なんともモヤモヤの残る作品でもあった。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。