■絶賛された柳楽優弥&坂東龍汰の演技
一方で、兄弟の異母姉・愛生(尾野真千子/42)の失踪をめぐる、ミステリー部分が徐々に展開。山梨県で起きた母子行方不明事件にスポットが当てられ、愛生が偽装死を図っていたこと、夫・祥吾(向井理/42)がライオンの父親だと分かったところから、ドラマに緊張感も出てきた。
また、柳楽や坂東らの演技も圧巻だった。これは、制作側のスタンスによるところも大きいようで、脚本を担当している徳尾浩司氏と一戸慶乃氏はインタビューで「プロット(物語設定)があるにもかかわらず気持ちスタートで書く」と語っている。設定やストーリーよりキャラの気持ちが優先されているからこそ、各キャラが生き生きと動き、演じる側も役に入りきれる。神シーンが連発したのも納得だ。
洸人と美路人たちを描いたヒューマン部分でほっこりさせ、愛生と祥吾の謎を描いたミステリー部分で考察を煽る、絶妙なバランスの構成、そして演者を活かす気持ち優先の脚本。それらがあったからこそ、『ライオンの隠れ家』は素晴らしい作品になったのだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。