そろそろ暮れが迫ってきた2024年。ドラマの視聴方法がテレビでリアルタイムで見るだけでなく、スマホやPCなどで自分の好きな時間や場所で楽しめる配信で見るスタイルが急増した1年だった。今回は、そんな配信で数字を伸ばして話題になったドラマを振り返ってみよう。

 吉高由里子(36)主演のNHK大河ドラマ光る君へ』は、全話平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)が10.7%と、前作『どうする家康』の11.2%を0.5ポイント下回り、大河歴代ワースト2位となった。

 しかし、配信では好調で、NHKプラスでの全話の平均視聴UB(ユニークブラウザ/訪問回数)数が37.9万UBとなり、これまで1位だった『どうする家康』の25.2万UBを大きく上回り、歴代大河ドラマの最高視聴数を記録。平安時代、女性主人公と、大河ファンになじみのない不利な設定だったが、成功の秘訣とは――。

 大河ドラマ63作目となる本作は、平安時代に千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた女性作家・紫式部の生涯を、まひろ(吉高)と藤原道長(柄本佑/38)との恋愛模様を織り交ぜながら描く物語。脚本はラブストーリーの名手、大石静氏によるオリジナル。

 まず挙げられるのが、大河としては全話平均視聴率が12.0%と苦戦した、12年放送の『平清盛』以来の平安時代という舞台を逆手に取ったこと。大石氏の思い切った構想通り、振り切れたシーンが連発。まひろと道長の関係、身内同士でのドロドロの権力争いなど、雅な時代に似つかわしくないシーンが相次いだ。

 最近の地上波ドラマは世相を反映してか、登場人物がまわりに気をつかう、クリーンで優しい作品が多い。そんな中、『光る君へ』は舞台が平安時代だからこそ、不倫や謀略などを、その倫理観のなさに「不謹慎」だと炎上することなく登場人物にやりたい放題させられたのだろう。