■かつての成功体験が、時代を見る目をくもらせている
ところで「ダルトン・インベストメンツ」は“もの言う株主”とされるが、「本来、株主は、企業姿勢にシビアな目を持っているべきもの」だと前出の鎮目氏が続ける。
「日本のテレビ局は、“ビジネスとは何か”がわからないまま、古い芸能界のつながりだけで今まで来てしまったきらいがあります。
ビジネスなら、お客様である視聴者やスポンサーを満足させて、その結果売上も株価も上がるのが理想ですが、制作スタッフにその意識がないのではと。テレビ界では、株主の方を向かずとも、長らく自分が手がける番組に人気タレントを起用して、そのつながりを死守するだけで偉くなれました。
テレビ局では、経営者としての勉強を重ねた人よりも、ヒット番組をつくった人をトップに据える傾向があるんですよね。そうした人は“自分は番組づくりを知っている”と言いたがるけど、本来、時代に合わせて儲けを上げ、信頼を高められる人が経営者になるべきです。かつての成功体験が、時代を見る目をくもらせてしまうと感じます」
長らく視聴者を楽しませてきてくれたフジテレビの真価が今、問われる。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)