■気になるテレ朝『フォレスト』の考察戦略
おおむね好評のようだが、気になるのは脚本の細部を称賛する声が多いこと。明らかなバカリズムファンの反応だ。『ブラッシュアップライフ』と同様に、ナチュラルな会話の中に重要な情報を入れていく手法は、確かにお見事なのだが、ファンにとってはたまらないものでも、それ以外の人にまで届いているとは限らない。
さらに、筆者が初回で受けた印象だが、『ホットスポット』は『ブラッシュアップライフ』よりもマニアックな雰囲気があり、一般層には届きにくそうだ。前評判こそ高かったが、前作ほどの大ヒットとはいかないかもしれない。
一方、同時間帯で放送された、比嘉愛未(38)と岩田剛典(35)がW主演する『フォレスト』(テレビ朝日系/日曜よる10時15分)は、「愛」と「嘘」が絡み合う究極のラブサスペンス。初回から登場人物全員が怪しいと視聴者の間で盛り上がっており、TVerの再生数が100万回を突破した。
最近人気の考察をあおる内容で、初回から伏線が張り巡らされており、リアルタイムで視聴したあと、配信サービスで見直して確認したくなるタイプのドラマ。キャスト的には地味に見えるが、ジワジワと視聴者の支持を広げそうで、現在、TVerのお気に入り登録数では2作が並んでいるが、『ホットスポット』がこちらに食われてしまう可能性は高い。
とはいえ、物語は始まったばかり。本作もX上で、《高橋(※角田)だけでなく、ホテルの支配人も大浴場使うって言ってたし、主人公以外の従業員とか、常連の客が宇宙人とかだと面白い。富士浅田は宇宙人にとってのホットスポット》などと、考察が始まっている。じわじわと盛り上げていくのは、バカリズムの得意なところ。今後の展開に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。