■ウケたのは『宙わたる教室』ぐらいか

 それは、近年、学園モノのドラマが低調続きであること。23年7月期の松岡茉優(29)主演『最高の教師』は、高校教師が1年前にタイムリープして、クラスのイジメなどの問題に対峙していく、先が読めない展開が話題にはなったが、視聴率は全話平均が5.9%(すべてビデオリサーチ調べ/関東地区)と、ヒットとは言い難い数字で終わった。

 また、昨年7月期の山田涼介(31)主演『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)は、教育用AIという斬新な設定だったが、全話平均が3.3%と惨敗。同期放送の生田絵梨花(27)主演『素晴らしき哉、先生!』(テレビ朝日系)も、「先生も人間なんだな」と思わせる内容は良かったのだが、3%台に沈んでいた。どれも内容は悪くなかったのだが……。

 もともと、GP帯の連続ドラマに学園モノが減っており、視聴者になじみがなくなってきているというのが、低調の理由のひとつだろう。

 だが、例外はある。前期では定時制高校の科学部を舞台にした、窪田正孝(36)主演『宙わたる教室』(NHK)が、生徒たちのさまざまな背景を丁寧に描いて話題になり、多くの称賛の声を集めた。変化球的な学園モノなら、今でもウケる可能性があるのだ。

 これには価値観の多様化が影響しているように思える。『宙わたる教室』のように、教師を含め、年齢も背景も違う多様なキャラで座組を構成した、これまでとは違った学園モノならば、まだまだ支持されるのだ。

 キャスト以外の放送前の情報は少なく、『御上先生』がどのような展開を見せるのかは分からない。ただ、TBSが力を入れ、話題作を多出している日曜劇場だけに、普通の学園ドラマでは終わらないはずだ。学園ドラマ受難の時代に、どんな物語を見せてくれるのか――期待して待ちたい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。