■恋愛要素が不安な『まどか26歳』

 芳根演じるまどかは、笑って泣いて走ってと、いかにも芳根京子らしいキャラ。芳根の喜怒哀楽の表現がすばらしいうえ、研修医についての説明描写が分かりやすく、視聴者からの「見やすい」という声が多いが、それだけでは物足りなくなるかもしれない。

 要するに、主人公が明るいだけで、いまひとつ深みがないのだ。その結果、毎回、主人公が“笑って泣いて走って”を繰り返すワンパターンになる可能性が高い。公式サイトのキャラ説明も、「昔から勉強ができたため、周囲におだてられ医学部に入学」ぐらいで、まどかの人物背景はあまり書かれていない。明るく天真爛漫なだけでは、視聴者が離れてしまうかも……。

 ならば、恋愛要素を盛り込んで、物語にスパイスを加えるという手もある。だが、彼氏の砂田(渡邊)とは今のところ球場で会うだけで、あげくにすっぽかしたまま。ラストの菅野(鈴木)にバックハグされながら、点滴のやり方を教えてもらうキュンシーンも、あまりに唐突だった。全体を通して恋愛要素は重視していなさそうに見えるが、お仕事ドラマだけで盛り上げるのはキツイのではないだろうか。

 公式サイトによると、初回からまどかの前にふらっと現れていた、謎の男・角田茂司(奥田瑛二/74)は、まどかの未来を揺るがすことになるらしい。角田によって意外な展開がうまれたり、ほかにも新キャラが出てくれば、ワンパターン化を避けられるかもれない。

 次回は、研修医として1か月半が経ち、まどかと砂田の恋愛模様の続きも描かれ、2人は険悪なムードになってしまうという。仕事に恋に奮闘する、まどかの姿に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。