■一大スキャンダルに発展も、ワイドショーは“スルー”

 この一件を最初に世に放ったのは、月刊情報誌『噂の真相』(2004年休刊)。とある芸能事務所の社長が主催し、TBS社員や芸能人たちが多数参加していたみだらなパーティーをスクープしたのだ。

 前出のベテラン芸能記者が言う。

「1999年8月号の『噂の真相』が報じた時点では、参加したとされる芸能人が旧ジャニーズ事務所をはじめとした大手芸能事務所の所属ばかりだったため、マスコミは“黙殺”。しかしその後、『FLASH』が生々しい現場の写真を“独占入手”として多数掲載しました。

 TBSの幹部社員もいたという現場には、パンツを下ろした男性アナがバッチリ写っていたことから、大騒ぎ。その後、他の週刊誌や女性誌が次々に取り上げて一大スキャンダルに発展しましたが、ワイドショーはスルーを決め込みました。当時、TBSも『FLASH』の取材に《事実関係を調査中》と回答するに留めています」

 破廉恥な接待パーティーで男性たちの相手をしていた女性のなかには、TBSの深夜番組『ワンダフル』に出演していたアシスタントの女性グループ、通称「ワンギャル」もいたことが報じられた。

「複数報道を総合すると、パーティーを催したとある芸能事務所の社長は、“人気の男性芸能人がいる”という話をエサにしたりで女性を集めていたとされています。パーティーに来ていたというTBSの男性社員も、ドラマの台本やドラマ関連グッズを女性たちに配ったりしていたそうですよ。加えて、男性アナも当時『ワンダフル』に出演していた身……。

 また、週刊誌の取材に応えたある女性は、“業界の大物とつながれると、芸能界でのチャンスが広がる”といった趣旨の発言をしていました。パーティーに参加したワンギャルたちがどこまで夢見ていたのかは不明ですが、裏を返せば、その時は、権力を利用した誘い文句が蔓延していたということでしょうね」(前同)

 業界では当時、“ワンダフルパーティー”とも呼ばれたこの事件を報じたのは、ゴシップを得意とする紙媒体のみだった。

「この事件を扱ったのは週刊誌や一部夕刊紙にとどまり、新聞や地上波テレビなど、いわゆる大手マスコミが無視を決め込んだこともあって風化してきましたが、現在なら"スルー”はあり得ないでしょうね。

 今回のフジの幹部社員が関与しているとされる中居さんの女性トラブルも、12月19日発売の『女性セブン』(小学館)の初報を受け、多くのウェブメディアを通じて多くの層にリーチ。そして、SNSで爆発的に拡散されたことで広く知られることとなり、CMを差し替えるスポンサーが50社以上にも上りましたよね」(同)

 TBSは20日、中居がMCを担当していた『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』は終了、『THE MC3』では中居の降板を発表した。Xでは、TBSも社内調査に対して《身内だけだと、調査じゃなくて隠蔽工作になりがちだが…》といった冷ややかな声も少なくないが……。

 ちなみに、“ワンダフル事件”があった1999年はどういうテレビ番組が人気だったかといえば、SMAPのバラエティ番組『SMAP×SMAP』(年間平均世帯視聴率33.5%/フジテレビ系)、ダウンタウンが司会を務めた音楽番組『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(同28.5%/同)、さまざまな無茶振り企画が話題を呼んだ『進め!電波少年』(同27.9%/日本テレビ系)などである(以上すべてビデオリサーチ社調べ、関東地区)。

 この当時、世間は“平成不況”と呼ばれる氷河期だったが、「テレビ業界はまだまだ元気。バブルの残り香を引きずるような空気感もあった」というのは、元キー局社員だ。

 時代は令和──企業も人も、透明性が求められる時代になった。