■意外な実力を見せつけた松村北斗
その一方で、恋愛パートは、瀬奈(川口)が8年前に宇井修也(田中圭/40)にフラれたときのトラウマで、踏切の音が苦手になっていたことが明かされ、真戸原(松村)が瀬奈の耳を塞いで踏切の音を消すというキュン演出があった。そこから真戸原が雪を見上げる瀬奈を見て恋に落ちるが、偶然、宇井と2人が鉢合わせるという、初回から想定外に早い展開だった。
X上では、《恋愛にトラウマがあり「1人で生きなきゃ」と背負い込んでいる川口春奈の心を、優しさと明るさで溶かしていく松村北斗の構図、良すぎる》《ベタなセリフや仕草でも、川口春奈と松村北斗が演じるとキュンになるのがすごい。元カレ田中圭が2人の間をどう掻き回していくのかが楽しみ!》など、3人に称賛の声が集まった。
そんな3人の中でも注目すべきは松村で、これまでにないポジティブなワンコ系なのに、不自然さを一切感じさせない好演。真戸原の瀬奈への距離感のバグりっぷりにハラハラさせながらの、川口主演の話題作『silent』(フジテレビ系)を思わせる、雪が降ってくるキュンラストはもはや反則だ。
そのため、X上でも《松村北斗こっちもいけるんかい! いつも堅い印象なのに、ふわふわな雰囲気でかわいい》《松村さん、人が恋に落ちた瞬間を表現するのうますぎません? この人だって思った表情が絶妙すぎる》《愛を信じる真戸原さんから目が離せない》などと反響も大きく、早くも松村演じる真戸原沼が発生している。
さらにここに、ワケアリ男をやらせたら随一の田中圭が絡んでくるという、目が話せない恋愛展開。裁判パートは薄味ながら、恋愛パートは大いに期待できそうだ。
日本テレビの“土曜よる10時枠”のドラマは、24年4月期の『街並み照らすヤツら』から7月期『マル秘の密子さん』に10月期『潜入兄妹』と、視聴率、配信ともに苦戦が続いていた。25年の口火を切った『アンサンブル』、そして真戸原(松村)が、同枠の救世主になるかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。