■「楽しくなければテレビじゃない」フジテレビ、港社長の“コンプラ意識”は――
フジがガイドラインを定めたという23年は、まさに中居の女性トラブル騒動が発生した年。しかもその騒動を把握した後に、港社長は堂々と、コンプラは“愛と腕”で突破できる、と制作現場に向けて伝えていたことになる。同インタビューで、港社長の“コンプラ論”は続く。
《番組の出演者や制作スタッフを含めて自分の番組に愛情を持って作っていれば、基本的におかしなことは起きないはずです》
《僕は日頃から「現場を軽く野放しにしよう」と言っています。現場には思いっきり飛び回りながら番組を作ってほしいんです。軽くとしているのは、注意点があったら『ここだけ気をつけような』と話し合わせるため》
現場尊重主義ともいえる港社長は、同時に《自由には責任が伴う》としている。
《公共の電波を使っているので世のため人のためになることをしなくちゃいけない。フジテレビにとってそれは世の中を楽しませるということ》
そんな港社長は、1980年代からフジが標榜してきた「楽しくなければテレビじゃない」で長らく第一線を張ってきた。前出の制作会社のスタッフが言う。
「80年代のフジは、1982年から12年間、年間視聴率三冠(ゴールデン、プライム、全日)に君臨。それを牽引したのが八木亜希子(59)、河野景子(60)、有賀さつきさん(2018年逝去、享年52)という“女子アナ3人娘”です。
その後、2000年になり、深夜帯の活性化を図ろうとしていた港社長は、次のフジを担う人材として再び女子アナに着目し、00年度の新人だった千野志麻アナ(47)に白羽の矢を立てました」
実際、千野アナが司会に抜擢された00年~01年放送のトークバラエティ『チノパン』は大人気を博し、『アヤパン』、『ショーパン』と、後継番組も誕生。バラエティ番組で女子アナが引っ張りだこになるとともに、勢いを取り戻したフジは04年から10年まで、再び視聴率三冠に返り咲いている。
「千野アナのファンは多く、コラムニストの中森明夫さん(65)も雑誌の企画“勝手に女子アナランキング”で千野アナを1位に選出。港社長は大喜びで、その誌面を制作部に配って回ったといいます。
ただ、そうした流れを経た今のフジテレビには、女子アナを“ニュースを読む人”としてきちんと扱わないような空気感もあるのではと……。現在も、バラエティ番組で同局の杉原千尋アナ(29)に“貝殻水着”コスプレなどをさせるなど、彼女たちがアナウンサーなのかタレントなのか、よく分からない立ち位置のときも。
そして、中居さんからの被害にあったX子さんは、『週刊文春』(文藝春秋)の取材に対し、自身の退社日の港社長について、《最後まで謝罪はなかった》と明かしています。トラブルを認識してから1年半もの間、社内で何も対処してこなかったことを含め、そのコンプラの意識は低いと思われても仕方がないのではないでしょうか。23日の社員説明会では、コンプライアンス推進室の室長が“中居氏のトラブルを知らされていなかった”ことも明らかになりました」(ワイドショーデスク)
果たして、いまフジテレビは「世の中を楽しませる」ことができているだろうか。まずは会社を率いる長として、港社長のコンプラ意識が問われている。