放送法が定める「政治的公平性」の解釈を巡り、安倍政権が総務省に圧力をかけた記録とみられる文書について、総務省が3月7日に「行政文書」だと認めた。

 総務省は長年、放送事業者の「一つの番組ではなく番組全体を見て判断する」と解釈してきたが、20150年5月、当時の総務大臣だった高市早苗経済安全保障担当大臣(62)が国会答弁で「一つの番組のみでも極端な場合は公平性を確保しているとは認められない」との解釈を加えた。

 問題の文書によると、2014年11月、当時の礒崎陽輔首相補佐官が総務省に「一つの番組でもおかしい場合があるのではないか」と解釈の見直しを指示。

 同省が難色を示すと、礒崎氏は「抵抗しても何のためにもならない」と発言。安倍政権が目指した憲法改正に触れ、「賛成、反対ばかりの放送でも困る」と主張したとされる。また、当時の安倍晋三首相(享年67)と高市大臣が解釈を巡って電話会談したとも記されている。

■安倍政権が問題視したのは『サンデーモーニング』だったというが……

 夕刊紙記者が話す。

「文書の真贋を巡って国会は紛糾。高市大臣は文書に出てくる自身に関する記述は“捏造だ。事実ではない”と主張。野党の辞任要求を拒否していますが、“暴発的な辞任”もありえると各社政治部は警戒していますね。

 また、文書には礒崎氏が、関口宏(79)がMCを務める『サンデーモーニング』(TBS系)でコメンテーター全員が同じ主張をしていたと問題視したことが議論のきっかけになったと記されています。

 安倍政権は『サンデーモーニング』やNHKの『JAPANデビュー』を問題視していたという記載もありますが、その流れを汲んで発足した菅政権も、ニュース番組や情報番組に“圧力”をかけていたと言われていますね。そして、“菅政権に潰された”と言われているのが『バイキングMORE』(フジテレビ系)なんです」

 坂上忍(55)がMCを務めた『バイキング』は2014年4月にスタート。当初はバラエティ番組だったものの「生ホンネトークバラエティ」というコンセプトのワイドショーに路線変更。2020年9月からは『バイキングMORE』に改題し、リニューアルしたが2022年4月に最終回を迎えた。

「番組が終了したのは坂上の高額ギャラがネックになったからだ、と、多くのメディアが報じました。もちろんそれも関係しているのでしょうが、それ以上に問題視されたのが、過激な番組内容やコメンテーターらの物言いだったといいますね」(前同)