■盆栽がスマートフォンで育てられる

 そんな中、ブームの兆しを見せているのが、スマートフォンで育てられる「デジタル盆栽」です。

 例えば、「Appy Bonsai」というアプリには1万7000種以上の樹木と品種に関する豊富なデータベースがあり、盆栽、鉢、石、道具を詳細なプロファイルで記録し、剪定、植え替え、施肥などの必要な手入れを計画。気象条件の変化などに合わせながら、リアルな盆栽と同じようにバーチャルな盆栽を育てる体験ができます。実際、SNSでは多くのインフルエンサーが、アプリで作ったオリジナル盆栽の成長過程を公開しています。

 他にもNFT(非代替性トークン)を活用して、盆栽の所有権をデジタル化。NFT所有者がオンラインで盆栽の成長過程を観察できるようにする動きも増えています。海外の愛好家にとっては所有し、育てることがとても難しい盆栽ですが、NFT化された盆栽のデジタルアートであれば手間をかけず簡単に所有し、鑑賞することも可能になりますから需要は十分。これから広がりを見せていきそう。

 ネット上でも

《TouchDesignerを使ってデジタル盆栽を作成しました》
《植物の成長プロセスを表現できるL-systemを活用し、幹や葉を再現しています》 
《忙しい毎日の中で、バーチャル盆栽は場所を選ばずに楽しめるのが魅力ですね》
《NFT全然惹かれなかったけど、盆栽NFTはちょっと食指が伸びる…》

 といったコメントが見られ、「デジタル盆栽」が若者の間で新たなトレンドになっていることが伺えます。

 将来的にはバーチャルリアリティ技術の導入で、自宅にいながら実際の盆栽庭園さながらの体験ができる日が来るのもそう遠くはないかもしれません。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。