■好調『まどか26歳』との共通点

 あまり異能力を発揮すると、粕原(清野)ばかりが目立つうえ、お仕事ドラマで重要なリアリティも損なうので、これは大正解だ。また、通信指令センターでは無愛想だが、実は酒に酔うと笑い上戸な兼下(瀬戸)のオンオフの切り替え。ベテラン堂島(佐藤)のここぞというときの存在感も、チーム感をより増している。

 また、新島(見上)の恋愛エピソードが、あくまでも仕事を軸にして描かれ、ストーリーのスパイスとして扱ったのも良かった。最近は恋愛ドラマが受けにくい状況で、今期では火曜ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)も、研修医のお仕事に振り切って恋愛要素は少なめ。だが、平均世帯視聴率が6%台と好調だ。

 生きていくうえで恋愛・結婚以外の選択肢が増えた令和の現状で恋愛を描くならば、かなり解像度を上げた表現でないと、視聴者には受けないだろう。逆に中途半端な表現の恋愛要素は、ストーリーのノイズになるため、『119 エマージェンシーコール』のバランスの取り方は正解だろう。

 キャスト良し、内容良しの本作は、配信サービス・TVerのお気入り登録数が88.5万(すべて5日午後5時現在)で、今期の連ドラの中で5位の数字。しかし、200万超えで1位の『僕のあざとい元カノ from あざとくてなにが悪いの?』(テレビ朝日系)は、膨大ななにわ男子藤原丈一郎(28)ファンの登録だと思われる。

 また、114.3万で2位の『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)も、すでに多くのファンを抱えたシリーズものであることを考えると、本作は104.9万の『御上先生』(TBS系)、89.1万の『ホットスポット』(日本テレビ系)に続く実質3位。これは、お仕事に徹した姿勢が評価されたためだろう。今後も好調は続きそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。