日本全国津々浦々、山間地域に行けば目にすることも多い、サルとシカ。実は近年、この両者の間に“奇妙な関係性”が見られるという。

「大阪の箕面国定公園や屋久島などで、ニホンザルのオスが二ホンジカに“交尾”を迫る姿が、度々目撃されているんです。

 これを受け、昨年12月には、学術誌『Cultural Science』が、その行動理由を分析した研究結果を発表。 “繁殖機会のないことへのはけ口だろう”と報告していますが、なんとも奇妙な組み合わせですよね」(全国紙社会部記者)

 ところが、サルの不可解な行動は、今に始まった話ではないという。動物研究家のパンク町田氏は言う。

「群れの中で劣位なサルは、性的行為をする機会がないため、その代償的な行動だと考えられます。それが癖になっている個体であれば、その後も繰り返しがち。言わば、人間の自慰行為のようなものです」

 そんな性的行為の矛先は、シカにとどまらない。

「イノシシを“襲おう”とするサルもいます。山から降りてきたサルが、飼われているイヌやネコに交尾を持ちかけようとしている姿も目撃されていますね。

もしかすると、“はぐれサル”が人里に寄ってくるのも、姿形が近い我々を“対象”に見ているからかもしれませんよ……?」(パンク氏=以下同)

 この“異種交配”を試みるのはサルに限らず、我々の身近なところでもよく目撃されているという。例に挙げられるのは、飼っているインコが主人や主人の腕に“求愛”する姿だ。

「これはインプリンティング、いわゆる“刷り込み”という習性です。ヒヨコがふ化して初めて見た大きな生き物を母親と認識するのと同様に、特定の時期を他の動物と過ごすと、生殖相手としてみなしてしまう傾向があります」