■『ホットスポット』はなにも起きなくていい
今回の予告動画に池松壮亮がいかにも怪しい感じで出てきたので、テレビ番組の取材をきっかけに、高橋(角田)が宇宙人であることがバレて、大騒ぎになると思っていた人は多いはずだ。しかし今回も、まさかのバレないオチで、特に大きな事件は起こらなかった。ここまでスカされ続けると、あえて派手な展開を避けているようにも思える。
今後、なにかやりそうな人物の候補で残っているのは、ホテルの長期滞在客・村上(小日向文世/71)と、選挙ポスターで登場している市長候補・梅本(菊地凛子/44)だ。だが、彼らにしても結局、これまで通り小さな事件が起きる程度で、このままヤマ場なく最終回を迎えるのではないだろうか。
そもそも、バカリズム脚本の小さな事件を積み重ねる作りを、視聴者はちゃんと支持している。今さら国を動かすような事件が起きたり、人が大量に死ぬようなスペクタクルが起きても違和感があるだけだろう。むしろ、なにも起きないまま進んでいったほうが、いいのかもしれない。
次回は、スナックのママと従業員役で、MEGUMI(43)と志田未来(31)が出演する。MEGUMIは『黒い十人の女』、志田は『ブラッシュアップライフ』(ともに日本テレビ系)で、バカリズム脚本ドラマに出演しており、本作でもクセの強いキャラを演じそうだ。
物語の前半で張り巡らせた伏線が、今回(第5話)でほとんど回収されたので、2人の登場によって、ここからまた新たな伏線が張られるのだろう。それらが大きなヤマ場につながることはないのだろうが、それでこそが『ホットスポット』らしさなのだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。