日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。中高年には懐かしく、若者には新しい? レトロな味の秘密に迫った!

 令和が7年目に突入した今、昭和・平成の食文化が再び注目を集め、昔ながらの絶品グルメや子供の頃に食べた家庭の味が、若者の間でブームとなっています。

 アパレル業界では、すでに90年代のファッションが現代に復活する現象が起きていますが、同じ流れは飲食業界にも波及。日本の伝統的な食文化や料理が再評価されています。

 たとえば、ネオン酒場や横丁といったレトロな飲食店が人気となり、「新宿思い出横丁」や「恵比寿横丁」など昔ながらの大衆酒場が賑わいを見せ、昭和の雰囲気を楽しむ若者が急増。こうした店舗では、昔ながらのホッピーやハムカツ、ナポリタンといったメニューが提供され、レトロな空間での食事が新たなライフスタイルとして定着しています。

 また、SNSで「映える」「エモい」といった価値観が広がっていったことで、町中華や純喫茶が若者の間で話題に。個人的にレトロな食を楽しんでいる人たちももちろんいますが、写真を撮ってSNSに投稿すると、同じ趣味を持つ人たちと一緒に盛り上がることになり、ブームが加速。それが食のリバイバルというトレンドに繋がっています。

 直近では物価の上昇により、消費者の節約志向も高まっています。オムライスやハンバーグといった昔ながらの洋食はリーズナブルでありながら満足感が高いため、多くの飲食店で昭和や平成の定番メニューが復活しているのもそのせいでしょう。