■『クジャクのダンス』話が進まない理由
また、心麦(広瀬)が両親と染田(酒井)の屋台でラーメンを食べる回想シーンについて、《母親の5歳の心麦ちゃんが「他の子より大きい」というセリフが気になりすぎる。林川歌と心麦ちゃんの年齢差は1歳なので、この1年の差が「他の子より大きい」の伏線だとしたら、やはり心麦=林川歌の可能性が高いのかも》と、林川家の人間であることを一度、否定された心麦が、やはり歌ではないかと考察する声も。
その一方で、《出演者や雰囲気、設定など、好きな要素が多いのだけれど、個人的にテンポが遅くしんどい。ラーメン屋のおじさん危険かもと思ったら、ラストでその通りになったり、この3、4話は内容が薄い》などと、話の進みが遅いと言う声も。確かに第4話は染田の過去に尺が使われ、あまり話が進まなかった。
春生(リリー・フランキー)が、遠藤友哉(成田凌/31)の父で東賀山事件の犯人・力郎(酒向芳/66)の冤罪を疑っていたということがわかったが、それは視聴者も織り込み済みのこと。そこで、さらに考察を盛り上げようと、ミスリード含めたヒントを出し過ぎたため、物語の展開をもどかしく感じた人が多かったのだろう。
だが、それが考察を盛り上げることが、配信サービス・TVerのお気に入り登録数の伸びにつながっているのは確かだ。今期のほかのドラマの多くが、数字の伸びが凪状態なのに比べ、本作は伸ばし続けており、『御上先生』(TBS系)、『ホットスポット』(日本テレビ系)、『119エマージェンシーコール』(フジテレビ系)の3強(シリーズものは除く)に食い込む可能性はある。
第5話は、心麦と松風(松山)が、春生の手紙の冤罪メンバーに名前があった、東賀山事件の元弁護人・三木田辰雄(石丸謙二郎/71)に会いに行き、新たな手がかりを聞き出すようだ。謎はどこまで広がるのか? あるいは話が大きく動くのか、今後の展開に注目だ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。