■なぜ田代まさしはOKで高知東生はNGなのか? フジテレビからの長文回答
不祥事を起こしたタレントが出演した過去作品に関する“処理”の判断は、なぜ分かれるのか。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は、「そもそも放送内容についての判断は、局ではなく各番組が行なう」と説明する。
「大前提として、テレビ局は世論やその時の空気を見て動くもので、不祥事に関して“許す・許さない”の間に明確な基準がないんです。そして、性加害のような相手がいる不祥事は絶対NGだとしても、薬物というのは担当者によって判断が分かれるところ。才能は才能として、“作品に罪はない”と考える人も多いですからね。
今回の場合、すでに田代さんは昨年のフジテレビの番組に出ていますし、バラエティ班はもう“OK”との判断であることがうかがえます。一方で、ドラマ班は依然として厳しい判断を下したということでしょうか」(鎮目氏)
X上には、田代の“ノーカット放送”について《スポンサーのいない時期のフジだから出来たことかもしれない》と、昨年12月末に報じられた中居正広(52)の女性トラブルに端を発した一連の騒動でフジテレビからスポンサーが撤退していることが影響しているのでは、と見る向きもある。しかし、それなら高知のドラマだってそのまま放送していいという理屈になるはずだ。
「個人的には放送せずに“隠す”ことに驚きました。なぜ高知さんが消されたのかを無理やり考えると、高知さんに“やんちゃ”なイメージがあるからでしょうか……」(前同)
モヤモヤの残る“カットとノーカットの分かれ目”について、フジテレビを直撃した。
まず、田代がカットされなかったことに関しては以下のような回答が得られた。
《本番組は、2020年3月に志村けんさんが新型コロナウイルスに罹患し、死去してから5年という節目に企画された番組で、志村けんさんが亡くなるまでに作り上げてきたコントの足跡を辿る、いわば志村けんさんの歴史の集大成を視聴者の皆様と振り返ろうという趣旨で昨年秋ごろより制作を開始しております。
田代氏が志村けんさんと共演していた時期は、志村けんさんが初めてドリフから離れて個人でコント作りに挑戦していた重要な時期であり、「変なおじさん」や「ひとみばあさん」など、その後20年続く人気キャラクターや傑作コントの多くがこの時期に誕生しました。あくまで志村けんさんが作り上げたコントの歴史の一部を紹介し、番組放送当時ご視聴頂いていた皆様と当該のコントを共有するという制作意図のもと、過去の映像を使用しております》
その一方で、『結婚できない男』で高知がカットされていたことについては、
《制作の詳細についてはお答えしておりません》
と、温度差に差異がある回答だった。
一部報道では多くのCMスポンサーが撤退した今のフジテレビだからオンエアできたのでは、という話も出ていたが、それについては、
《スポンサーの有無は関係ございません》
今回のフジテレビの2つの番組については、視聴者からは賛否両論が出ており、なかには《久々にマーシーのコントが見れたのはとても良かった》《スポンサーなしを逆手にとるというのは、最悪な状況の中でやれる貴重な一手ですね》といったコメントも寄せられている。