「ディープステート」と呼ばれる言葉が話題を集めている。「ディープステート」とは、政府の中にある影の実力者集団を意味し、陰謀論的な概念とも言われている。本当に実在するのかしないのかについては慎重な議論が必要だろうが、1月20日に2期目へと突入したアメリカのドナルド・トランプ大統領は、そうした存在があると主張。また、イギリスのリズ・トラス元首相も、「ディープステート」に関する発言を過去に繰り返すなど、世界の要人の中にも肯定派が少なくない。
こうした影響から、ここ日本でも「ディープステート」なる言葉が定着し、真実を知りたいと思うがあまり、陰謀論にハマってしまう人が増えつつある。メディア業界に勤務するAさんは、同棲していた彼女が陰謀論へとハマってしまったことで、自らの生活にも影響が生じた当事者の一人だ。現在は別れ、それぞれの道を歩んでいるというが、陰謀論者だった彼女との3年間をこう振り返る。
「2019年から付き合い始めたのですが、いたって真面目で、普通の感覚を持つ女性でした。ですが、コロナ禍になって、アベノマスクの滑稽さや世間のワクチン接種への同調圧力などをきっかけに、徐々にテレビで報じられるコロナ報道に対して半信半疑になっていきました。それからは、テレビよりもネットやX(当時はツイッター)で情報を収集するよう変わっていきました」(以下「」はAさん)
Aさんと彼女は、もともと中学校の同級生で、同窓会を機に再会。24歳のときに付き合うようになり、しばらくして同棲を始めたという。「もともと陰謀論が好きだったとかスピリチュアル系が好きだったというわけではない」とAさんが話すように、コロナで感じた疑問が、段々と彼女を陰謀論者へと様変わりさせたと回想する。
「一番のターニングポイントは、現役医師によるワクチン状況の告発動画や文章でした。コロナワクチンを引き金とした、子宮頸がんワクチンの是非に関する見直しも、その当時はマスメディア・ネットメディア含めて盛り上がっていたように記憶しています。現役医師によるワクチンの功罪議論が過熱化し、“自然派”と呼ばれる女性のを中心に広がっていく中で、彼女もどんどんのめり込んでいきました。やがて、マスクをすることで健康に被害があるという主張も出始め、マスクをすることは悪であり、マスクをつけないことが真実への“証”、反コロナに対する“意思”という一種のブランディングになるためか、彼女もマスクをつけなくなりました」
そこからは一気に生活が変わったとAさんは語る。
「健康法に関する怪しいグッズや書籍が、日に日に増えていきました。東京の書店にこんなにも多くのスピリチュアル系の書籍やグッズがあるのかと驚いたくらいです(笑)」