■GP帯には重すぎた『秘密』
最後に、板垣李光人(23)とHey!Say!JUMP・中島裕翔(31)がダブル主演する『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ制作、フジテレビ系/月曜よる10時)。科学警察研究所の法医第九研究室(通称・第九)を舞台に、死者の生前記憶を映像化する「MRI捜査」を用い、事件の真相を解き明かしていくヒューマンサスペンスだ。
こちらは、TVerのお気に入り登録数が39.4万で、『日本一の最低男』以上に撃沈。清水玲子氏の人気漫画『秘密-トップ・シークレット-』シリーズ(白泉社)の、アニメ化(08年/日本テレビ系)、映画化(16年)につぐドラマ化と話題になったがーー。
漫画のドラマ化でありがちな、原作ファンからのブーイングはほとんどなく、絶賛の声ばかり。設定を改変されているものの、物語の世界観を壊すことなくうまくドラマサイズに落とし込んでいるため、X上でも《ドラマという枠の中でちゃんと漫画の核となる部分は見失わずに描かれているし、台詞もかなり忠実だし、原作愛を感じる》などの声が。
ただ、取り上げる事件が異常犯罪ばかりで、惨殺された遺体が多数出てくるため、どうしても雰囲気が暗くなる。さらに、複雑な人間心理をテーマにしていることもあり、謎解きに至る過程もじっくり見ないとわかりにくく、GP帯ドラマとしては総じて重い。原作を忠実に再現しているから仕方ないのだが、週のはじめの月曜の夜に見るには厳しい作風だ。
ドラマとして良くできていても、それが視聴率や配信の数字に結びつくとは限らない。この3作も、放送前の番宣や、放送曜日や時間帯とのチューニングなど、ちょっと何かが違えば、ヒットしていたと思うのだが、つくづく惜しい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。