■永瀬廉主演の『恋ムズ』は「王道のラブコメ」として大人気
一方の永瀬主演の『恋ムズ』は30分枠と尺が短いが、TVerの数字も、遅い時間帯のドラマとしては善戦している。そして、シナリオは良くも悪くもベタベタな王道ラブコメだが、結果的にそれが功を奏しているようで、
《ドラマの複雑な考察とかここ数年増えたけど、そういうのが特別あるわけじゃなく王道コースのラブコメでシンプルにわーきゃーできる時間とても良い。笑》
《前半は昴くん(※永瀬)のコメディ要素が前面で強い感じだったけど後半になって色々詰め込まれすぎて怒涛の展開についてくの必死 でもそんな中でも結ばれてからの波乱とかベタな展開もあって王道ありがとうの気持ち!》
といった評価する声が多く寄せられている。
また、永瀬は『日刊スポーツ・ドラマグランプリ 春ドラマ 主演男優賞』を受賞した“不倫もの”の『東京タワー』(24年4月期)や、Netflixで大ヒットした“余命もの”の『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』(24年6月配信)など、多くの出演作で陰のあるのキャラを演じてきたが、今回の『恋ムズ』では全く違った面を見せてくれている。
主人公の昴(永瀬)は「皆が俺を見ている。この顔に一瞬にして恋に落ちていく……なぜなら、俺だから」と本気で考えていたり、浮かれた笑顔でピースしながら「(ヒロインと)付き合うことになった!」と親友(西畑)に自慢したりと、とにかく自己肯定感の高いナルシスト。それを新鮮に感じるファンも多いようで、
《暗い(大人しい)役の印象ばかりだったのを忘れてるくらい、明るい役も似合ってるし、自然な感じ!》
《今まで暗めの役とか闇抱え系多かったのに真逆で新鮮だし嬉しい》
《今までの廉くんの役ってなんかこう、暗め(語弊があるかも)が多かったんだけど、今回の役はなんか新鮮で。凄く似合ってると思う。そのまんまやんとかそういう事でなくて、新しい永瀬廉が見れた感じ》
といった意見も多く、永瀬が俳優として新境地を開拓できた感もある作品だ。
両ドラマについて、多くの恋愛ドラマを観てきたドラマライター・ヤマカワ氏はこう話す。
「川口さんと松村さんが仕事に恋にと奮闘するドラマだと思いきや、“お仕事要素”は薄めだった『アンサンブル』。さらに、意味不明な行動を見せる毒親や元カノなど、ノイズになる要素が多くて、“恋愛要素”にも集中できず……。期待外れだったと、松村さんファン以外の視聴者が離脱するのはしょうがないでしょうね。
その一方、『恋ムズ』は格差恋愛から始まって、主人公の成長を描きつつ、実は運命の出会いだったという、視聴者の期待を裏切らない展開の連続。永瀬さんファンでなくてもハマってしまう、ベタな仕掛けは見事です」
STARTO社の演技派俳優2人による1月期の2つの恋愛ドラマには、明暗がついてしまったようだ――。
ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。