■「?」な言動が多すぎる『おむすび』
この展開、思わず受け入れそうになるが、よく考えると、なんだかわからない。「家族はやっぱり家族のことを大事に思っている」と言いたいのだろうが、なぜそれだけで結婚を反対している親を許す気になるのだろうか? 百歩譲って、娘のことを考えての反対だったと解釈すれば、千佳の行動はスジが通るのだが……。
ただ、それはあまりに視聴者の想像力に頼りすぎていないだろうか? もうすぐ子の親になる妊婦なのだから、親子の情に訴え、千佳の心を解きほぐすような会話シーンでもあったらまだわかる。それもなしに「そう簡単には切れんと思う」と言われても、見る側は納得できない。
これに限らず、『おむすび』には頭の上に「?」が浮かぶような言動があまりに多い。ストーリー展開に“会話”ではなく、それっぽい“言葉”を当てはめていくため、セリフと物語が噛み合わない。これでは、見ていてストレスがたまるだろうし、視聴率が落ち込むのも仕方ない。
X上でも、《不自然な会話とストーリーで、この先の展開がどうなるのか、全く気にならないし、どうでも良いから、早く次の朝ドラが始まらないかなと思う毎日です》《会話が噛み合っていない気がした。おむすびはこういう雑なとこがちょいちょいあって、見る気が削がれる》など、苦言が寄せられている。
ドラマ自体が嫌われてしまっているなか、人気キャラとして支持されていた永吉(松平)は、まだ4週分を残して退場してしまった。このままでは、最終週(第25週)に向け、視聴率はさらに低下しそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。