■できるかぎりソフトに、撫でるように揉んであげたい

 ペットのツボを押す際に気を付けるポイントはあるのだろうか。石野院長は「人間のマッサージと同じように考えるのはNG」と言う。

「こっているからとゴシゴシ、ゴリゴリとやるのはご法度。動物は痛いとは言えません。それなのに、愛犬や愛猫が痛がっているように見えたということは、相当な痛みだと思っていただきたいです。撫でるくらいの力で、お互いにリラックスしている時に、ペットの表情を見つつ、力の加減をしてあげましょう」(石野院長)

 なお、ペットならではのマッサージ方法も存在すると、石野院長は続ける。

「それは“皮膚を引っ張るマッサージ”。人間は皮膚を引っ張られても気持ち良くありませんが、犬猫にとっては最高。

 また、過去に『どうぶつ奇想天外!』(TBS系列)で体重65キロのラブラドール(標準で25~30キロほど)をこのマッサージでダイエットを成功させたこともあります。無理に散歩をさせると足腰を壊しかねない肥満の動物も、皮膚を引っ張ってギュムギュムとマッサージすることで、代謝を活発化させる効果があるんです」

 最後にペットへの“マッサージ効果”は我々人間にも大きなメリットを期待できるという。

「とある研究で、マッサージされた犬の尿中に“幸せホルモン”のオキシトシンが分泌されることがわかっていますが、一方でマッサージした側の人間の尿にも大量のオキシトシンが発見されました。
ペットへのマッサージは“してあげる”ではなく人にとっても幸せなこと。ペットの免疫も上がりますし、ぜひ飼い主さんは、いろいろ触れてあげてほしいと思います」(前同)

 仕事から帰った夜や、休日など、たまにはゆっくりペットの体をほぐしてあげるのもよいかもしれない。

石野孝●いしの たかし
出身地 :神奈川県鎌倉市
麻布大学大学院修士課程修了。
中国内モンゴル農業大学にて中国伝統獣医学(鍼灸、漢方)を学び、かまくらげんき動物病院を開業。最新の西洋医療と伝統的な東洋医療を融合させた動物に優しい治療を実践している。
国際中獣医学院日本校の創設者であり、現理事長。国内外に1000名以上の後進育成をしている。
(社)日本ペットマッサージ協会理事長

相澤まな●あいざわ まな
出身地 :神奈川県二宮町
かまくらげんき動物病院副院長。動物とペットオーナーに優しい治療を実践している。
中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、中国西南畜牧獣医学会学術顧問、日本ペットマッサージ協会理事、日本ハンドメイドドッグソープ協会理事、国際中獣医学院認定講師。