■姉の方が主人公感があるという声も

 主人公である結(橋本)に厳しい声が飛ぶ一方で、仲演じる姉・歩は“ギャル”を通じて仲間や周囲の人間を救ったり、逆に救われたりする展開が丁寧に描写されていて、職業も「雑誌モデル→売れない俳優→古着屋バイヤー→ギャル仲間とアパレル立ち上げ」と、ギャル設定を生かしたキャリアアップをしている。そのため、

《歩が書いた(アパレルブランドの)ホームページの文章いいね。主人公がこれを書いて、ドラマがまとめにはいっていく。いいんでない?あ、主人公は歩ではなかった》
《今さらですが…阪神の震災で親友を亡くした姉の歩。親友の父を立ち直らせ、東北の震災で物資を送ったのも歩。妹の結は人助け(米田家の呪い)している?》

 といった、姉の歩の方に主人公感を感じるという声も。

 そんな厳しい意見が絶えない『おむすび』は、歴代朝ドラの平均視聴率ワースト作品、倉科カナ(36)主演の『ウェルかめ』(2009年度後期)の世帯視聴率13.5%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)をほぼ確実に下回ると言われている。3月12日放送回までの全話平均世帯視聴率が13.2%。前期の伊藤沙莉(30)主演の『虎に翼』の全話平均視聴率16.8%と比べても散々な状態にあり、評判だけでなく、数字の面でも残り10話ではとても挽回不可能だ。

『おむすび』はどうすればよかったのか――。朝ドラウォッチャーでもあるドラマライター・ヤマカワ氏はこう分析する。

「第8週から栄養士を目指すようになり、第12週から社員食堂の栄養士、第18週から病院の管理栄養士と、現在(23週)まで15週以上かけて描いてきたのに、結に栄養士としての経験が蓄積されているように見えないんですよね。おまけに結は母としても娘との関係性が薄く、成長が見られないんです。こんなスカスカしたキャラの主人公に感情移入するのは難しいですね。また、ナレーションも、説明的な表現ばかりだったのも残念でした。もっと“ドラマ”で表現してほしかったですね」

 笑っても泣いてもあと10話。『おむすび』はこの10話で、どんなドラマを見せてくれるのだろうか。

ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。