■演技が進化している松坂桃李
次は、日曜劇場『御上先生』(TBS系)で主演の松坂桃李(36)。このドラマは、東大卒のエリート文科省官僚・御上孝(みかみたかし/松坂)が、新たに設けられた官僚派遣制度によって私立高校の3年の担任教師に左遷され、令和の時代を生きる18歳の高校生を導きながら、権力に立ち向かっていく大逆転教育再生ストーリー。
松坂演じる御上は、第1話でいきなり生徒に、「君たちが考えているエリートはただの上級国民予備軍だ」と冷たく突きつけるも、その後は、生徒たちに考えることを促し、「そうだね」という言葉とともに、これぞ令和の学園ドラマという、真摯な態度で生徒に寄り添ってみせた。
これまでにない学園ドラマをうたったように、本作は賢い生徒ばかりの進学校が舞台。生徒の問題と同時に社会問題にも切り込んだ斬新な内容は評価が高かった。配信サービス・TVerのお気に入り登録数が122.3万(3月20日当時)と圧倒的な数字で、平均世帯視聴率も最終回が11.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、挑戦作でありながら十分に成功したといえる。
また、御上は生徒への熱い指導などなく、あくまでも生徒主導で問題を解決させ、それを見守り、サポートする立場。セリフも抑えめで派手なアクションもないが、それでも見事な説得力を持たせていた。俳優として、完全にステップアップしている松坂。27年放送予定のNHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』で、主人公・小栗忠順役が決まっているが、今から楽しみだ。