■映画の評判は決して悪くはない…大泉洋だけでも「価値あり」
さらに言えば、2024年公開の映画で興行収入10億円以上の邦画(アニメ含む)は31本。公開序盤の興収が『かくかくしかじか』に近かった前出の『ブルーピリオド』はランクインしていない。
「『ブルーピリオド』は、最終的な興収は10億円未満だったと見られます。同映画よりも興収の推移が少し良い『かくかくしかじか』は、“興収10億円が視野に入っている”と一部で報じられていますが、果たしてそこまで伸びるか――というのが現状ではリアルなところではないでしょうか。
『かくかくしかじか』は、観た人の評価は決して悪くないのですが、やはり永野さんの不倫疑惑報道で、数字が伸び悩んでいるところは否定できないでしょうね」(前出の芸能プロ関係者)
前述のように“永野が出てるから無理”という声も多い『かくかくしかじか』だが、実際に映画を観た人の評判は良い。
《かくかくしかじか映画ものすごく良かった。原作持ってて昔から好きだったけど、永野芽郁ちゃんの演技が素晴らしくて可愛らしくて、泣いた。大泉洋さんの先生に懐かしさを感じて、今映像化ありがとうの気持ち》
《始めは彼女のことを色々考えた しかし、大泉洋のパワフルな演技で、一気に物語世界に引き込まれた ラスト30分は、大泣きを何とか堪えた 理由はどうあれ、永野芽郁という稀有な女優を決して潰してはならないと思う》
など、主演の永野、そしてスパルタ絵画教師役を演じる大泉の演技を絶賛する声が多く寄せられている。
また、大手映画サイト『映画.com』では3.8点、『Filmarks』でも3.7点(いずれも5点満点)と高評価を得ている。
実際に『かくかくしかじか』を観た映画ライターは言う。
「『かくかくしかじか』での永野さんの演技は良かったと思います。永野さんは元気で明るい天真爛漫なヒロインを好演。永野さんの演技は本当にナチュラルで、作り込んでいるようには見えないけど、しっかりと主人公はそこにいるという感じで、彼女が持つ“天性のもの”をあらためて感じされられました。
そしてやはり、『かくかくしかじか』では大泉さんが素晴らしいんです。1つ間違えば“暴力教師”に映りかねない日高先生を、絶妙な塩梅で演じることで“愛のある恩師”になっていて、非常に説得力のある名演技でした。最初は、強烈な先生だな……と思っていても、話が進むにつれてどんどん日高先生のことを好きになっていくんですよね。多くの感想にあるように、終盤は涙なくしては見られません。大泉さんの演技だけでも、映画館に行く価値はあるのではないでしょうか。
また、原作者の東村さんの故郷である自然豊かな宮崎県、進学先で重厚な雰囲気のある石川県・金沢美術工芸大学がロケ地に使われていて、景観も見応えがあった。
ただ、鑑賞した人からも《やっぱりダメでした。色々な事がよぎってしまい、感動的なシーンも全てなんとも言えない気持ちになりました。原作が大好きなだけに本当に残念すぎる》《原作はとても面白いのですがやはりキャスティングが… あのスキャンダルが出る前に観たかった》といった、永野さんが気になる、という声も上がっています。
“不倫報道がチラつくから観られない”という人が出るのは仕方がないことでしょうね。あくまでも疑惑ですが、不倫はとにかく嫌われますからね……。
鑑賞前に拒否感を抱く人がいる一方で、鑑賞した人からは高評価を得ていると言える作品ですが、やはり一定数の反発があるだけに、興行収入の面では、爆発的な上がり目が期待できない、というのがリアルなところではないでしょうか。
ただ、“作品に罪はない”とはよく言われますが、『かくかくしかじか』もより多くの人に観られることになればいいと思います」
決して大コケではないが、「大ヒット!」とはとても言えない数字というのが、現状の映画『かくかくしかじか』のリアルなのかもしれない。