■中居氏が「どうしても譲れなかった」ことと反撃で「得たもの」

 そもそも、中居氏の「女性トラブル」が世間に明るみになった発端は週刊誌によるスクープだ。中居氏にすれば女性に示談金を払って、内容は守秘義務ということで、終わるはずだった。

「“女性トラブル”という情報だけなら“引退”でカタがつけられたはずが、第三者委員会の報告書で『性暴力』が認定されてしまった。これは大きな計算外だったでしょう。というのも、そもそも中居氏は引退前に公式サイトに掲載した文書で、《このトラブルにおいて、一部報道にあるような手を上げる等の暴力は一切ございません》と記していたことからも、あくまでも“無理やりではなかった”と主張したいわけですよね。

 ただし、第三者委員会が適用したWHOが定義する性暴力の範囲は広い。一般的な日本人なら“性暴力”と聞くと最も酷いケースで強姦を想起してしまいますが、中居氏はそうした“強制的”なイメージが拡散されたのがどうしても許せない、というのが反撃の根拠だと思われます」(鎮目氏=以下同)

 ここで厄介なのが、第三者委員会はあくまでもフジが設置したものであるということだ。フジテレビ社員の業務のあり方を洗うなかで、タレントとの付き合い方や社員であるアナウンサーの働かせ方などを整理するものではあっても、中居氏とA子さんの間に、具体的に何があったかを明らかにすることは本来の目的ではなかった。

「ならば、“性暴力”とする根拠を明らかにしてほしい、というのが中居氏代理人の言い分ですが、第三者委員会にすれば、それは“WHOの定義”という以上に明らかにする必要がない。完全に水掛け論です。

 中居氏も強制的ではないというのなら、その具体的な証拠を出せばよいという話になってしまう。ただし結局、守秘義務が邪魔をして、結局“僕はそんなにひどい人間じゃない”とぼんやりした訴えしかできません。とはいえ、せめてファイティングポーズを取りたかった、ということではないでしょうか」