■西脇亨輔弁護士「古市氏は中居氏側との現在の関係を明らかにしてものを述べるべきです」

《加害者側から聞いた話を事実だと思い込んで社会に言い触らしています。声が大きいから信じる人も一定数いる》文春に掲載されたA子さんの傷心。確かにSNSでも、A子さんが指摘するような意見は見られるが――。

 SNSでも大きな影響力のある識者の今回の発信は、どう捉えるべきなのか――。元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔弁護士に見解を聞いた。

 西脇弁護士は「識者が意見を述べるなら、まず自分の立場を発信の度に明確にすべき」と言う。

「橋下さんは中居氏側から相談を受けるなど中立ではないことを明示していて、“擁護のように感じられるかもしれない”という断りも入れていますが、古市さんは立場をはっきり説明していない。中居氏側との現在の関係を明らかにしてものを述べるべきです。“フラットな立場での識者”なのかを明確にしないと誤解を招く。その上で、中居氏の反論文書も、お二人の主張も、言い分が”無茶”だと思います」(西脇弁護士=以下同)

 何が「無茶」なのか。

「言葉づかいは激しいのですが、筋道だった理屈や法的根拠は見当たらないのです。中居氏の文書は『人権救済』を訴えながら、具体的に中居氏のどの人権がどう侵害されているのか、法的な根拠が書かれていない。

 古市さんは6月3日の投稿で第三者委がWHOの基準を使ったことを“恣意的”としていますが、国際基準を使うことのどこが“恣意的”なのか不明。また橋下さんは第三者委が“中立ではない”と主張していますが、第三者委は中居氏とも女性とも利害関係はないはずで、それを否定する根拠は示されていない。

 一方で、両者とも《迷走》《勘違い》といった感情的な言葉を多用して、SNSなどの炎上を招きやすくしています。

 十分な理屈や根拠がなく中居氏側の反論文書を擁護して話題が大きくなると、火に油を注ぎ、間接的に女性側に二次被害という副作用を招く可能性が高まります。もちろん言論は自由です。ただし、公開の場での発言には責任が伴います。特に二次被害の恐れがある場面では、慎重な表現が求められるはずです」