日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が現代のトレンドを徹底解説。今回は今最もホットな話題、生成ＡＩとの付き合い方について触れてみたい。

　すでにＡＩによる失業リスクを懸念している方は多いのでないでしょうか。特に、単純で定型的な作業が多い仕事は、ＡＩによる自動化の対象になりやすいとされています。

　野村総合研究所のレポートによれば、日本における労働人口の約４９％の仕事がＡＩに代替可能になるという試算も。ＡＩに奪われやすい仕事の例としては、経理や医療・保険・行政などの事務職、ホテルや飲食店などの接客業、銀行員、運転手、警備員、製造業や配送業の現場職、さらにはライター、データ入力、カスタマーサポート、受付業務などが挙げられます。かつて「手に職を」と言われた業務までもが、ＡＩの台頭によって置き換えられる可能性をはらんでおり、多くの労働者にとって無関係ではいられません。

　しかし近年、現場で語られているのは「ＡＩに奪われる恐怖」よりも、「ＡＩを使いこなせる人が周囲にいることのプレッシャー」です。たとえば同じチームの中にＡＩを使って作業スピードを何倍にも高める同僚がいれば、自分の存在意義が問われる時代になりつつあります。