■今後はどれだけAIの能力を引き出せるかが競争力を左右する

生成AI「Grok」が作成した、今回の記事にふさわしいイメージ画像

 教育分野でも生成AIの活用が進んでいます。ベネッセが提供する「自由研究おたすけAI β版」では、ラボリーというキャラクターと対話をしながら、小学生の興味関心を深掘りし、自由研究にぴったりのテーマを提案してくれます。子どもが「生き物について調べたい」「なんで星は光ってるの?」などと質問すると、AIがそれに応じて知識を補足しながら研究テーマの方向性を示し、学びのきっかけを広げていく。「自分で選ぶ・考える」プロセスにAIが寄り添う形であり、単なる宿題支援を超えた教育支援ツールとして注目されています。

 さらに自治体の取り組みとしては、埼玉県戸田市が導入した「AI総合案内サービス」が先進的。引越しや住所変更手続き、子育て支援、ごみ出しルール、住民票や戸籍の取得方法など…市民からの問い合わせに対して、AIがチャット形式で対応し、必要に応じて市の公式ホームページへスムーズに誘導する仕組みです。このサービスにより、市民は自分のタイミングで情報を入手できるようになり、電話や窓口対応の負担軽減も見込まれています。

「生成AIの強みは、文章生成や資料作成といった言語業務だけではありません。データ分析やリサーチ、アイデア出しに加えて、デザインやプログラミング、さらには社内情報の検索まで、多岐にわたります。

 これらをうまく使えば、業務の効率化だけでなく、社員の創造力や判断力を引き出す力にもなる。今後は、どれだけAIの力を引き出せるかが個人や組織の競争力を左右する時代になるでしょう」(外資系コンサルティング会社社員)

 もはや「AIに奪われるかどうか」ではなく、「どう使いこなすか、どう共存するか」が問われています。LINEやチャットアプリのように、まずは「この文を敬語にして」「資料の抜けを指摘して」といった簡単な相談から始めてみることが、AIと共に働く第一歩かもしれません。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。