今田美桜(28)が主演、北村匠海(27)が準主演を務めるNHK連続テレビ小説あんぱん』。同作では長きにわたり悲惨な戦争が描かれ、俳優陣の徹底した役作りも注目を集めた。

【以下、『あんぱん』ネタバレを含みます】

『あんぱん』は、国民的キャラクター『アンパンマン』を生んだ漫画家・やなせたかしさんと妻の小松暢(こまつ・のぶ)さん夫妻をモチーフにした作品。今田が暢さんをモデルにしたヒロイン・朝田のぶを、北村がやなせさんをモデルにした柳井嵩を演じる。

 同ドラマでは1941年(昭和16年)から1945年(昭和20年)まで続いた太平洋戦争が描かれた。嵩が6月6日放送回で出征し、同20日放送回で終戦を迎えるまで、“飢えの苦しみ”ほか多くの生き地獄が描かれた。

「かねてより『あんぱん』では、脚本の中園ミホさんや北村さんなど、多くの番組関係者が“戦争をしっかりと描く”というコメントをしてきました。それは、『アンパンマン』のルーツには、やなせさんが悲惨な戦争を通じて学んだ、人生観が反映されているからですよね」(テレビ誌編集者)

 やなせさんは戦争を経て、「正義」は状況によって簡単に逆転するが、飢えた人に一切れのパンを与えることは、揺るがない絶対的な正義であると痛感。その考えが反映されたのが、『アンパンマン』なのだ。

「『あんぱん』の戦争編では特に、やなせさんが実際に味わった“飢え”が強く強調されていました。嵩が戦地で、タンポポの根っこをかじって空腹をしのごうとしたのも、史実に基づいたシーンです。

 戦争が激化していた第11週(16日~20日)の時期には、そういった壮絶な“飢え”をドラマで表現するにあたり、北村さんたち俳優陣が行なった役作りが注目を集めました」(前同)

 まず、嵩役の北村。嵩は平和な世であれば「軍人」とは程遠い人物であったが、出征して訓練を受けたこともあり、最初の頃はしっかりとした体型となっていた。

 しかし、中国・福建省奥地での任務に就いてから、戦況は悪化。補給路が断たれ、食糧は届かなくなり、野に咲くタンポポまで食べつくした嵩は栄養失調になり、激やせ。虚ろな表情を浮かべて道に力なく倒れてしまう――という、壮絶な場面が6月19日に描かれた。