春ドラマの中で、視聴率と配信の成績が好調に終わった『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)、『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)、『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS系)の3作品。これらには、ある共通点があったようだ。
まず、小泉今日子(59)と中井貴一(63)によるダブル主演の月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』は、古都・鎌倉を舞台に、ドラマ制作部ゼネラルプロデューサー・吉野千明(小泉)と、鎌倉市役所を定年退職後、観光課で指導監として働いている長倉和平(中井)の、大人の恋を描く物語。
全話平均世帯視聴率は7.7%(すべてビデオリサーチ調べ/関東地区)で今期の民放連ドラ3位。配信サービス・TVerのお気に入り登録は、129.0万(最高値・6月20日)でドラマ部門でぶっちぎりの1位。放送後、続編を期待する声が視聴者から相次いだ。
ロマンチック&ホームコメディをうたい、シニア世代の日常のわちゃわちゃを描いていた本作。その一方で、再雇用や複雑な恋愛感情など60代の生き方をシビア、かつリアルに描き、世代間の価値観や生き方の違い、年を重ねることで感じる孤独や不安など、ときには辛口なエピソードもあった。
そこで描かれた問題は、すぐには解決されない。しかし、悲しさを抱えながら、前に進もうというメッセージは、見るものを勇気づけてくれる。同世代の人たちにとっては“応援歌”、若い人たちにとっては人生の“道しるべ”となる救いを、最後にはちゃんと与えてくれる優しさがあった。だからこそ、ここまで支持されたのだろう。