■『めおと日和』は貴重な存在
続いて、芳根京子(28)主演の木曜劇場『波うららかに、めおと日和』は、漫画アプリ「コミックDAYS」で連載中の西香はち氏の同名コミック(講談社)が原作。昭和11年の春に交際ゼロ日で結婚した、なつ美(芳根)と江端瀧昌(本田響矢/25)の甘酸っぱい時間を描くハートフル昭和新婚ラブコメ。
全話平均世帯視聴率は5.8%(第9話まで)で、今期の民放連ドラ6位。配信サービス・TVerのお気に入り登録は、115.3万(6月24日現在)でドラマ部門3位。放送前はあまり注目されていなかったが、徐々に注目度がアップ。メインキャスト5人が演じるキャラクターのアクリルスタンドが即日完売するなど、社会現象的な人気になっている。
戦争が影を落とす時代を描きながら、ドラマの内容は、初夜を迎えるどころか、手をつなぐのにもドキドキしてしまう、なつ美と瀧昌の“うぶキュン”に徹していた本作。最近のドラマの多数派になっている、ドロドロした復讐系の恋愛ミステリーに疲れた心を癒やしてくれる、貴重な存在となっていた。
また、誰ひとりとして、強い敵意や悪意を持った人が出てこないのも良かった。たとえ、すれ違いや思い違いがあったとしても、分かり合っていき、すべては、なつ美と瀧昌の“うぶキュン”に収束されていく。最初から最後まで優しい空気に満ちていたから、ここまでの人気作になったのだ。