■新庄監督が掲げる完投ありきの野球

 目下、セの首位を快走する阪神にも、気になる噂が。

 関係者の話を総合すると藤川球児監督(44)の存在が、チーム内でも微妙に“浮き始めている”というのだ。

「キャンプ中から予兆はあった。2月6日にグラウンドで選手、球団スタッフが全員整列して行われた故吉田義男元監督への黙祷に、なぜか藤川監督が不在。その連絡ミスを犯し、結果的に監督に‟恥をかかせた”担当マネージャーは即、更迭された。関係性の構築でいえば、我々マスコミには、就任当初から一貫して‟塩対応”のままです」(スポーツ紙阪神担当記者)

 そうした懸念について、OBの藪恵壹氏は「阪神という球団の特殊性」を挙げて、こう続ける。

「本人なりに試行錯誤もしているのだろうが、OBの歴々やアクの強い関西マスコミを敵に回して、いいことなんて一つもない。

 野村さんや星野(仙一)さんのマネをしろとは言わないが、監督として率いる以上は、もう少し押し引きも学んでほしいよね」

 そんな藤川とは対照的に評価を爆上げ中なのが、阪神時代の先輩でもある日本ハムの新庄剛志監督(53)だ。

 多くの選手が日替わりで複数ポジションをこなすのは、もはや当たり前。

 そうかと思えば、先発陣に対しては「そういうプロ野球に戻ってほしい」と完投を指示。“完投王国21”と独特の表現で、具体的な目標をも公言する。

 OBの藪恵壹氏が言う。

「伊藤大海(27)以外の投手には、完投後にローテを一度、飛ばすなどの対策も講じているようだが、それができるのも実は、選手たちとの間に、しっかりとした関係性があればこそ。

  投手からすれば、登板機会の減少は、年俸査定にも直結する一大事。いくら監督の指示は絶対といえども、ともすれば不協和音の要因にだってなるからね」

 もっとも、今季の新庄監督には、これまで見せてきたような奇策にも“マジック”と呼ぶにふさわしい勝負勘のさえがある。

 それが、ライバル監督との「大きな差」だと、伊原春樹氏は指摘する。

「能力や状況に合わせた適材適所の起用ができているし、選手の側がそんな彼のやり方を理解し、それに応えようと準備をしているから、結果にもつながる。

 内外野こなす捕手の郡司裕也(27)にしても、けっして“捕手で使いものにならん”と、他をやらせているわけじゃないからね」

 一方、その日本ハムを追うソフトバンク。序盤は主力に故障が続出し、苦戦を強いられたが、得意の交流戦で優勝を果たし、さすがの底力を発揮中だ。

 だが、あるスポーツ紙のソフトバンク担当記者は、チームの不調は首脳陣の“ある問題”がリンクしていると語る。

「小久保監督(53)、奈良原浩ヘッド、投手チーフの倉野信次コーチは、いずれも青学大出身。端で見ていると、この3人の結びつき強すぎるせいで、どこか物言えぬ雰囲気が微妙に漂っているようにも感じます」

 その象徴が目下、首位打者とブレイク中の柳町達(28)の“遅咲きぶり”だ。

「彼は一昨年の時点で、他ならバリバリ、レギュラーの選手。にもかかわらず、去年に続いて今季も開幕は2軍スタートだった。

 たまらず奈良原に聞いたが、“使い勝手が……”と、どうも返事が要領を得ない。仮に近藤健介(31)の離脱がなければ、彼は今頃、2軍でくすぶり続けていた可能性すらあったんじゃないかな」(伊原氏)