横綱、親方として、相撲を通じて日本文化や神事に長らく関わってきた貴乃花。自身が体験したことや、本を読んで学んだこと、そして、心に残った“ニッポンの魅力”を、歴史の話も交えながら伝えていく。

 日本の神事では、水と塩が大切にされています。

 神社に参拝すると、手水舎(ちょうずや)で手を清めますし、社殿では、神様の御前に供えられた‟清め塩”を頂けますよね。

 古くから水と塩には神聖な力があると信じられていました。

『日本書紀』には、黄泉の国から戻った伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が、自らの穢れを祓うために海水を使ったと記されていますが、それが転じて現在に至るというわけです。

 この話を知ったとき、ふと頭に浮かんだのが、イスラエルという国でした。

 実は、イスラエルの民族宗教のユダヤ教にも、お清めの水や塩があるんです。さらに驚くことに、こうした習慣を現代まで受け継いでいる国は、世界中でも日本とイスラエルだけみたいなんです。