■日テレの見解は――

――タレントと放送局との関係性、ならびに企画内容の性質等を踏まえた場合、マラソン企画がパワーハラスメントに該当する可能性について、どのように考えられますか。

「一般的には、当該行為がパワーハラスメントに該当するとは考えにくいです。

 厚生労働省が定めるパワーハラスメントの定義では、“職場において行われる優越的な関係を背景とした、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であり、相手の就業環境を害するもの”とされています。分かりやすく言えば、業務と無関係な“いじめ”や嫌がらせ行為が、パワーハラスメントの典型例となります。

 この点、『24時間テレビ』における『24時間マラソン』は、日本テレビから依頼を受けたタレントが業務として実施するものであり、まさに“業務の一環”です。したがって、このマラソン企画に出演させること自体がパワーハラスメントに該当すると評価するのは難しいといえます。

 仮に“どのタレントを走らせるか”という選定過程において、個人的な嫌悪感や不利益を与える意図で不当に選ばれたような事情がある場合には、それは明確にパワーハラスメントと評価される可能性があります。この点は、出演内容そのものではなく、選定や運用の仕方における配慮の有無が問われることになります」

 本サイトは日本テレビにも、労働安全衛生規則の改正を受けて、『24時間テレビ』のマラソン企画において具体的な変化などがあるのかを問い合わせたところ、

「これまでも専門チームの指導、監修のもと、”メディカルチェック”、”走力チェック”、そして暑さに強い身体をつくるための”暑熱順化トレーニング”を行い、万全な事前準備をしてのぞんできましたが、労働安全衛生規則改正をうけて、あらためて専門チームと相談しながら休憩の入れ方など、熱中症対策をさらに強化して準備を進めております」

 ということだった。

 今年も酷暑下で行なわれそうな『24時間テレビ』のマラソン企画。誰が走っても、過酷すぎるものになりそうだが……。

正木絢生(まさき・けんしょう)弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。労働問題や消費者トラブル・交通事故・相続・離婚・借金など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。
BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。

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