横綱、親方として、相撲を通じて日本文化や神事に長らく関わってきた貴乃花。自身が体験したことや、本を読んで学んだこと、そして、心に残った“ニッポンの魅力”を、歴史の話も交えながら伝えていく。
日本が誇る文化の一つが“家紋”です。海外では、王室や貴族など、一部の人が紋章を持つことはありますが、一般国民に至るまで、多くの家族が紋章を持っているのは、世界でも日本だけなんだそうです。
そんな家紋の中でも、日本人に最もなじみ深いのが、“菊花紋章”です。
パスポートの表紙にもあしらわれたこの紋章は、皇室の象徴であると同時に、日本国を象徴するものとして広く知られています。
その名の通り、菊の花をモチーフにしているんですが、花弁の数や重なり方によって、“十葉”、“十二葉”と、いくつか種類があるのをご存じでしょうか?
皇室の象徴として使われているのは、16枚の花弁が重なった“十六八重表菊(じゅうろくやえおもてぎく)”です。ちなみに、パスポートには、花弁が重なっていない、“十六一重表菊(じゅうろくひとえおもてぎく)”が使われていて、若干、違うんですね。