■エルサレムのヘロデ門に“菊花紋章”!?
菊花紋章のルーツをたどると、鎌倉時代の後鳥羽上皇までさかのぼるといわれています。上皇は菊の意匠をこよなく愛し、自らが用いる刀や衣服にまで、この紋を取り入れました。
やがて、それが天皇家の表紋として定着し、明治2年(1869年)の太政官布告で十六八重表菊が正式に皇室の紋章として定められて、現在に至ります。
日本における菊の花の歴史はさらに古く、古墳時代に薬草として大陸から伝わり、奈良時代には鑑賞用としても親しまれました。平安時代には、『古今和歌集』などの和歌にも登場していて、宮中で、菊を愛でながらお酒を飲む、『観菊の宴』が開催されました。
かように、菊、ひいては菊花紋章というのは日本人にとって特別な存在なんですが、驚くべきことに、世界の古代文明の遺跡には、日本の菊花紋章によく似たものが数多く残されているそうです。
例えば、エジプトの王族の副葬品として見つかった“ロータスの皿”や、イラクのバビロン遺跡の壁画にある模様などが挙げられます。
それらは、菊の花をモチーフにしているわけではありませんが、いずれも、日本人なら菊花紋章を連想してしまうほど、形がよく似ているんです。
中でも注目したいのが、イスラエルの首都・エルサレムのヘロデ門にある紋章です。花びらのようなくぼみが放射状に16個並んだその姿は、まさに日本の菊花紋章そのもの。

なぜ、世界各地の文明に、これほどまでに似たものが残っているのか、不思議でなりません。