ペナント争いは勝負の夏場に突入。まだまだ“一波乱”ありそうな“決死の総力戦”の行方は?

 オールスター戦も終わり、ペナントも残すところ、およそ50試合。優勝&クライマックスシリーズ(CS)を懸けた争いも、夏本番のここからが正念場だ。

「関西メディアや財界からすると、万博で盛り上がっている今年はこのまま阪神が独走して、虎党人気も高い新庄剛志監督(53)の日本ハムと日本シリーズを……というのが理想です」(スポーツ紙阪神担当記者)

 その阪神は、2位に9.5ゲーム差と首位を快走中(7月22日現在=以下同)。連勝を球団タイ記録「11」に伸ばした7月10日には、他球団が借金生活に陥るなど、死角は見当たらない。

 西武、オリックスで指揮官としてチームを率い、野村克也監督の下で阪神コーチも務めた伊原春樹氏は、佐藤輝明(26)をキーマンに挙げて、こう言う。

「三振は変わらず多いが、明らかなボール球にも闇雲に手を出していた去年までとは違い、今年はある程度、待てるようになっている。

 唯一の不安要素があるとすれば、打線の核である彼が、このまま故障することなく完走できるか否か。そこぐらいじゃないか」

 実際、開幕前に優勝候補筆頭と目された巨人は、岡本和真(29)の離脱という“まさか”に襲われて以降、得点力は大幅にダウン。

 頼れる4番の有無が、そのまま両チームのゲーム差に直結しているフシは確かにある。この点については、巨人OBの角盈男氏も、「藤川球児監督最大のヒットではないか」と称える。

「開幕前の時点では懐疑的な見方も多かった“サトテル4番”をブレずに貫いたことで、まさに“立場が人を変えた”印象だよね。

 彼が4番にドシッと座ったことで、前を打つ森下翔太(24)の自由度が増し、後ろの大山悠輔(30)も重圧から解放された。去年との一番の違いはやはり、そこに尽きるでしょう」(角氏) 

 主力に離脱がなく、1〜5番をほぼ固定できている阪神と異なり、阿部慎之助監督(46)率いる巨人は、日替わり打線状態。7月9日の中日戦以降は、4番に坂本勇人(36)を据えるなど、指揮官も暗中模索。

「いくら力が落ちたと言っても相手にとって依然、坂本は嫌な打者。打順をコロコロ変えて“やってる感”を出すくらいなら、“岡本の復帰までは坂本と心中する”でいいと、私は思う。そのほうが選手も戦いやすいし、チームとしても乗っていける。その意味でもキーマンは、監督の阿部慎之助じゃないですか」(角氏)

 そのうえで直接対決で5勝13敗と大きく負け越す阪神戦で、いかに巻き返すか。

「今の巨人に一番足りないのは、走者が出たら何かを仕掛けてくると思わせるぐらいの、いやらしさ。力勝負で思いきり負けている以上、奇策・奇襲もどんどん使っていくべきでしょう。

 打順の固定化で個々の役割を明確にし、そのうえで積極的に仕掛けていく。逆に言えば、それぐらいガラッと変えれば、勝機はまだあるんじゃないかな」(角氏)

 岡本の1軍復帰は、8月中旬が濃厚。それを起爆剤に、“メーク・ミラクル・アゲイン”に望みをつなぐか。

 また、下剋上に向け、虎視眈々なのがDeNAだ。

「昨季日本シリーズで活躍のフォード(33)、元中日のビシエド(36)に続き、3年ぶりNPB復帰となる、元阪神のエース・藤浪晋太郎(31)まで獲得。死球上等の“ノーコン投球”に、セの打者は早くも戦々恐々です」(スポーツ紙デスク)

“最終大型補強”は、後半戦に懸ける意気込みだろう。

「夏場に向けて、上がり目があるとすれば、やはり打線。もともと攻撃力には定評のあるDeNAだけに、きっかけ一つで、勢いに乗る可能性は大いにある。

 盛りを過ぎたビシエドが使えるかは別としても、既存の主力に刺激を与えるカンフル剤には間違いなくなりますし」(前出の角氏)

 角氏は藤浪について、「初登板が鍵」と指摘する。

「どちらに転ぶかは、復帰後、初マウンドの結果次第。そこで四球連発などの悪癖が出なければ、意外と順応できるのではないか。

 個人的には、ミスの許されない中継ぎより、トータルで抑えればいい先発のほうが、彼の能力はより生かせると思うけどね」(角氏)

 Aクラス争いを続ける広島は、他球団からの徹底マークで、好調だった主砲のファビアン(27)のバットに陰りが。暑さが増したオールスター戦前には7連敗を喫し、得点力不足も深刻だ。前出の伊原氏は、こう言う。

「東克樹(29)らに、しっかり勝ちがついているDeNAと比べても、広島の3本柱はやや安定感に欠ける。エースの床田寛樹(30)でさえ5割がやっと、というのは、去年9月の歴史的大失速を考えても、ちょっと心許ない気はするよね」