打線が弱い中日はやっぱりしんどい

 もっとも22日時点で2位DeNAから5位広島までのゲーム差はわずか3。ヤクルトを除く他の4球団には、まだまだCSのチャンスがあると。

「ただ、まあ、この中だと、やっぱり中日がしんどい。現状2割4分台の細川成也(26)が2割6、7分に上げてくるなら話も変わるが、他と比べても打線が弱い。岡林勇希(23)が、いくら頑張っても、そこはいかんともし難いだろう」(前出の伊原氏)

 続いて、パ・リーグ。

 ここまでは、変幻自在の“マジック”がさえる新庄日本ハムと、序盤の大コケからV字回復の小久保ソフトバンクが首位を争う展開。

「適材適所の選手起用はもちろん、作戦面でも新庄は本当によくやっている。走塁一つを取っても、ここぞという場面で思いきりのいいスタートが切れるのは、選手が監督を信頼している証でもあるからね」(伊原氏)

 レイエス(30)、万波中正(25)の本塁打王争いもさることながら、特に目を引くのが、リーグでダントツのチーム完投数「19」。他の11球団が1桁の中、20の大台突破は確実で、当の新庄監督も「目標はサーティーワン」と公言済みだ。

「6、7回で1、2点なら平気で最後まで行かせるからね。先発の替えどきばかりを気にしている他の監督とは、そこが大きく違うよ。

 その意味でも、新庄采配が“守り”にさえ入らなければ、このまま日本ハムが行くと見るね」(伊原氏)

 一方の角氏は“常勝”を宿命づけられたチームで揉まれた一人として、ソフトバンクの逆転Vと予想。もつれれば、“経験の差がモノを言う”点を指摘する。

「新庄にばかりスポットが当たるが、気が付けばゲーム差はたったの2。毎年のように勝たなきゃいけない重圧がある中、故障者続出でも結局、この位置にいるのは大したもんですよ。

 日本ハムがこのまま逃げ切るには、第4コーナーを回った時点で、最低でも5ゲーム差以上は離しておく必要アリと見ます」(角氏)

 近藤健介(31)や周東佑京(29)ら、故障に泣いた主力が続々と復帰し、追撃態勢は万全に見えるが……。

「残るは、主砲です。山川穂高(32)が不振で一時、2軍落ちしたほど。再昇格後も依然、打率2割でホームランも14本です。もう1人の大砲、柳田悠岐(36)もケガが長引き、復帰は不明です」(前出のデスク)

 チーム本塁打数は54本で、両リーグトップの日本ハムと30本以上の差が。

「柳田の不在で、一発に期待のできる打者が他にいない以上、監督の小久保(裕紀)とすれば、山川は使わざるをえない。仮に山川が、ここから30発の大台に乗せるぐらいに調子を戻したら、状況もまた変わってくるだろうけどね」(伊原氏)

 その2強の背後から好機をうかがうのが、岸田護監督(44)率いるオリックス

 今シーズン開幕から猛打爆発で、チーム打率も断トツの2割6分前後。夏場に向け、さらにエンジン全開だ。

「森友哉(29)に続き、西川龍馬(30)までケガで離脱したのは痛手だが、今のオリックスは、それが気にならないぐらい、放っておいてもポコポコ打つ。

それだけに投手陣がもうちょっと上向けば十分、上位も狙えるよ」(伊原氏)

 確かに、3.36のチーム防御率は下位の楽天より、さらに下のリーグ5位。エースの宮城大弥(23)は防御率こそ2点台も、いまだ3勝にとどまっている。「今年の宮城は、6回を超えたあたりで、急に崩れることが少なくない。後ろのペルドモ(32)とマチャド(33)がいいだけに、山岡泰輔(29)や岩嵜翔(35)あたりが7回をバチッと抑えられたら、取りこぼしもかなり減るのでは」(伊原氏)

プロ野球12球団「序盤&中盤戦績」評価

※各チームの勝敗数、ゲーム差および防=防御率、打=打率は7月22日現在
      セ・リーグ                                      
1位 阪神
53勝35敗2分
1.99
.247
 ー チーム防御率&打率でリーグ1位。
4番の佐藤輝明(26)は本塁打&打点の2冠を独走する活躍。
2位 DeNA
41勝42敗5分
2.70
.227
9.5 ケイ(30)、東克樹(29)、ジャクソン(29)の
先発3本柱が機能も、再加入のバウアー(34)が誤算。
3位 巨人
42勝44敗3分
2.58
.240
0.5 5月に主砲・岡本和真(29)が負傷離脱の大ダメージ。
山﨑伊織(26)の防御率1点台の奮闘が光る。
4位 中日
40勝46敗2分
2.83
 .226
  2 移籍組の上林誠知(29)が奮闘も得点力不足は明白。
松葉貴大(34)を除いて、低調な先発陣にも課題。
5位 広島
38勝45敗5分
2.87
.242
0.5 昨年同様、暑さとともに戦績は急降下。
頼みの救援陣が打ち込まれる一方、打線は貧打にあえぐ。
6位 ヤクルト
28勝50敗5分
3.56
.227
7.5 投壊状態の投手陣は光明見えず。
打線も頼みの村上宗隆(25)のケガが長引き、打つ手なし。
      パ・リーグ                                     
1位 日本ハム
54勝33敗2分
2.25
.245
 ー 新庄マジックの中心は、防御率1位を狙う北山亘基(26)と
本塁打&打点2冠のレイエス(30)。
2位 ソフトバンク
51勝34敗4分
2.44
.246
  2 前半戦は近藤健介(31)他、主力に故障者が続出も、
柳町達(28)らがその穴を埋め、再浮上中。
3位 オリックス
46勝38敗3分
3.36
.259
4.5 岸田護監督(44)の指揮の下、打ち勝つ野球にシフト。
7年目の太田椋(24)が3割キープと好調。
4位 西武
42勝45敗1分
2.63
.229
5.5 今井達也(27)、隅田知一郎(25)の先発陣と、
抑えの平良海馬(25)など投手陣は安定感アリ。
5位 楽天
39勝46敗2分
3.14
.242
  2 主砲の浅村栄斗(34)らの不振でチーム本塁打数は
リーグ最下位。得点力不足は解消されず。
6位 ロッテ
34勝50敗2分
3.57
.231
4.5 打線、投手陣ともに不調にあえぎ、チーム内の
ゴタつきも噂されるなど、打つ手ナシの状態に。