俳優の吉沢亮(31)が主演、横浜流星(28)が準主演の映画『国宝』の興行収入が115億円を突破した。

 実写邦画作品の興収が100億円を突破したのは、2003年公開の『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』以来、実に22年ぶり。さらに、テレビ局が制作に参加していない実写邦画が興収100億円を突破したのは史上初。映画史に残る大快挙を成し遂げた。『国宝』は現在、『南極物語』(1983年/110億円)を抜いて実写邦画作品で歴代2位となっている。

 映画『国宝』は、吉田修一氏(56)による同名小説(朝日新聞出版)が原作。任侠の家に生まれながら、歌舞伎名門の当主・花井半二郎(渡辺謙/65)に引き取られ、芸に人生を捧げた男・喜久雄(吉沢)の50年を描く一代記。物語は半二郎の跡取り息子・俊介(横浜)との“ダブル主人公もの”のような構成になっている。

 同作は、特撮ファンの間でも熱い視線を注がれていた。理由の1つは、吉沢と横浜が、いわゆる“特撮俳優”であること。そして、彼らが過去作で演じた役の関係性が関係している。

 吉沢は、福士蒼汰(32)主演の『仮面ライダーフォーゼ』(11年9月~12年8月末)にて、2号ライダー・“朔田流星/仮面ライダーメテオ”を演じていた。

 対する横浜は、志尊淳(30)主演の『烈車戦隊トッキュウジャー』(14年2月~15年2月)にて、“トッキュウ4号/ヒカリ”を演じていたが、実はそれよりも前、吉沢と『フォーゼ』で共演していた。

 役柄は、“流星の親友・井石二郎”。登場話数は少なかったが、流星が仮面ライダーとして戦うきっかけを作った重要人物として俳優デビューを飾った。6月7日に『国宝』公式Xに投稿されたインタビュー動画では、「十数年ぶりにまた親友役っていうのがすごく嬉しかったし、すごく心も高まった」(横浜)、「運命的なものを感じたし、自分も大きな存在でした」(吉沢)と、再会を喜んでいた。

 そんな2人は『国宝』がヒットする前から、同世代の俳優ではトップクラスの存在として、着実にキャリアを積み重ねてきた。特に輝かしいところでは、吉沢は『青天を衝け』(2021年/当時27歳)、横浜は現在放送中の『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で、2人とも20代にして、俳優として最高峰の実績の1つであるNHK大河ドラマ主演を勝ち取っている。

 また、2人にはもう1つ共通点がある。それは、特撮作品では“主人公”ではなかったこと。そして、主演俳優の方が先に売れていたことだ。

『仮面ライダーフォーゼ』では、吉沢よりも先に、主演だった福士の方が一時期は主演俳優として多くの作品に出ていた。吉沢の知名度が急上昇したのは、2017年公開の映画『銀魂』にメインキャストで起用されてから。

『トッキュウジャー』でも、横浜よりも先に、“トッキュウ1号”だった志尊の方が、NHK連続テレビ小説半分、青い。』(18年4月期)で朝ドラデビューを果たすなど、役者として一歩リードしている感があった。横浜が一躍人気俳優に躍り出たのは、その1年後。2019年1月期に、深田恭子(42)主演の『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)で、主人公のお相手役を務めたことで人気が急上昇し、売れっ子になった。

 そういった経緯を経て、気づけば吉沢も横浜は“大出世”を果たし、大河ドラマ主演、さらに“115億映画”の実質的なダブル主演――誰もが国民的俳優と認める存在となった。