横綱、親方として、相撲を通じて日本文化や神事に長らく関わってきた貴乃花。自身が体験したことや、本を読んで学んだこと、そして、心に残った“ニッポンの魅力”を、歴史の話も交えながら伝えていく。
お正月の初詣のように、1年の折り返しである6月末から夏の時期にかけて、神社仏閣にお参りをする“夏詣(なつもうで)”が、近年、人気だそうです。
もともと、神社には1〜6月までの半年間の災厄を清める“夏越の祓”や、イネ科の植物の茅(ちがや)で編んだ輪をくぐる“茅の輪くぐり”など、夏の節目に行う儀式がありました。そう考えると、夏こそ神社に足を運ぶ絶好の季節かもしれません。
日本人にとって神社は身近な存在です。ゆえに、見過ごされがちですが、実は、その一つ一つに目を向けると興味深いものばかりです。例えば鳥居も、その一つ。神社の入り口に立つ鳥居は、神域の内と外を分ける境界の門の役割をしていますが、その起源は諸説あり、定かではありません。
日本神話では、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、天の岩屋にお隠れになった際、八百万の神々が“常世の長鳴鳥”を鳴かせて誘い出すというお話があります。その鶏が止まった木が鳥居の原型であるという説もあれば、海外の文化が渡来したという説もあったり、さまざまです。